なぜモンテディオ山形は強いのか?カギを握るのはこの4人!

J1に上がりたい。サポーターや選手たちは、そう胸に抱きながらJ2を戦っている。

今季は首位の水戸ホーリーホックと2位・モンテディオ山形が好調で、お互い2敗をキープしながら昇格街道を駆け上がっている。

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この2チームはサポーター間でコール合戦が行われていたほど、良好な関係を築いていた。だがそれも2009年の山形のJ1昇格を最後に行われなくなった。

それはお互いがトップディビジョンに上がるまで、見られないだろう。そんな好調2クラブが、6月15日のJ2第18節に山形ホームのNDスタジアム山形で激突する。

今回は山形側で試合が行われるということで、某媒体で山形の担当記者をしていた筆者が、モンテディオの好調の理由に迫ることになった。

山形の強さの秘訣とは何か?ジェフェルソン・バイアーノの補強と活躍に目が行くが、その裏で奮闘している4名の日本人をご紹介したい。

木山 隆之

まずはこの人、木山隆之監督。彼の戦術がチームに浸透したことが何よりの秘訣だ。

山形サポーターなら「誰でも知っているよ!」という突っ込みが入るかもしれない。それでも木山監督の存在を書かなければ、今季の躍進は説明できない。

2017年シーズンに就任してから、今年で3年目。3バック戦術の導入など試行錯誤を繰り返しながら戦ってきたが、前途多難の道だった。

木山体制1年目終了時に、J2屈指のCBであるDF菅沼駿哉が古巣のG大阪に復帰。他にもMF鈴木雄斗がJ1王者川崎に、DF高木利弥が柏(当時J1)へと主力が大量流出した。

昨季始めは一線級の実力者がいなくなったことで積極補強を行うも、最終順位は12位と昇格を逃した。それでも天皇杯は柏、川崎とJ1の強豪から白星を挙げて四強入りと結果を残した。

ストーブリーグで昨季チーム最多得点(12得点)のMF小林成豪(大分へ)、華麗なドリブルスターMF汰木康也(浦和へ)が移籍したが、戦力の流出を最小限に抑えた。

昨季とは違い、イレブンたちは木山監督の考えや戦術が浸透しているため、安定した成績を残せているのだろう。

栗山 直樹

「強いチームは良い守備をする。守備からチームを作りたい」

木山監督の思いが成就するように、今季は失点11と22チーム中2位タイ(もう1クラブは柏)の堅守を見せている。

そんな山形で3バックの中央に立つDF栗山直樹は、まさに難攻不落のラインの要だ。

プロ入り前から負傷に苦しみ、山形に入団するまで各シーズン1桁台の試合出場数だった。昨季は菅沼の移籍によりレギュラーに抜擢され、自己最多の36試合に出場。シーズン始めは判断ミスなどが散見されたものの、次第に安定していった。

力強い空中戦、素早いシュートブロックなど今の山形になくてはならない存在へと成長した。

カバーリングがうまく、サイドアタックに強いDF松本怜大と、推進力のある攻撃参加に強靱なフィジカルを持つ若手DF熊本雄太のトリオが堅守を形成している。息の合った連係守備は、J2屈指のレベルだろう。

ちなみに栗山は謙虚でファンサービスも丁寧。本当にナイスガイだと思う(筆者談)。

三鬼 海

DF三鬼海のチャンスメイクも忘れてはならない。

山形の2ボランチは無尽蔵の運動量をほこるMF中村駿、適切なポジショニングに定評のあるMF本田拓也のコンビが、攻守に大きな役割を果たしている。

この2人のゲームメイクを補助するどころか、最高の形で演出するキープレーヤーが右WBの三鬼だ。鹿島のDF内田篤人がドイツ1部シャルケ時代に見せたサイドからゲームメイクするように、彼も正確なビルドアップでサイドからチャンスを創造する。

今季はラストパス35本と2位中村駿の18本の約2倍の本数をたたき出している。Jリーグ公式サイトによると1試合平均のチャンスクリエイト数はDFながら7位。クロスや正確なプレースキックにも定評があり、1試合平均クロス数は6.2本でリーグ中3位と傑出している。

ピッチ外では山形イレブンの素の表情を時折SNS上に写真をアップするなど、裏方でも活躍(SNS大好きの某広報からもうれしい悲鳴が)。ファンサも素晴らしく、礼儀正しくて物腰も柔らかい。彼も栗山と同じくナイスガイだ。結婚おめでとう(筆者談)。

坂元 達裕

最後にこのチームにとって最高の補強となった新戦力を紹介する。

その名はMF坂元達裕だ。推進力のあるドリブル、視野の広さ、キープ力に空中戦の強さと挙げれば枚挙にいとまがない。「本当に大卒ルーキーですか?」と思うぐらいのパフォーマンスを披露している。

現在は17試合出場3得点。今季移籍したドリブラー・汰木の穴を埋めるどころか、「チームの心臓」といっても過言ではない。タックル成功率も85.7%と高く、守備でも魅せる。

入団時には「ドリブルには自信があるので、(停滞した展開も)打開できる自信がある」と、まさに言葉通りの活躍を見せている。木山監督の戦術にとって、なくてはならない存在となった。

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他にも在籍最長の山田拓巳主将など重要な選手は多くいるが、字数の関係上割愛(紹介したい…)。以上を持って分析(私見?)を終了したい。ここまで17試合9勝6分け2敗と好調をキープしている山形がどこまでいくのか。陰ながら見守っていきたい。

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