認知機能チェックできる簡易検査を導入へ 大和市

大和市が導入した認知機能を判定するタブレット端末

 大和市が認知症施策を強化している。7月から市内9カ所に開設されている高齢者福祉拠点の地域包括支援センターで、認知機能の低下を把握できる簡易検査を導入する。市内の認知症の人は現在約9500人いると推計されている。症状の進行を抑えるとともに、増加が予測される患者数の抑制を目指す。

 市によると、簡易検査は医療機関が開発した専用アプリを備えたタブレット端末を各センターに1台配備して実施する。画面に表示された設問に回答することで記憶力や注意力などの認知機能をチェックでき、担当者の説明を受けながら30分程度で終了する。

 タブレット端末を活用した認知機能検査は2018年1月に、県内自治体で初めて導入した。保健福祉センターや文化複合施設「シリウス」など市内3施設で、65歳以上を対象に利用者を事前に募り、毎月8日間程度実施している。

 検査は職員がマンツーマンで付いて行い、体力測定や保健指導を含めて約1時間半かかっている。新たに始める簡易検査は質問項目などを減らして実施。身近な地域包括支援センターに認知症の不安や介護などの相談に訪れた高齢者の家族らに声を掛け、随時実施していくという。

 18年度にタブレット端末による認知機能検査を利用したのは404人。このうち約15%の50人が認知機能低下が疑われる判定が出された。該当者には保健師らが家庭訪問し、医療機関の受診を勧めたり、市が実施している支援サービスを案内したりした。

 市は16年9月、「認知症1万人時代に備えるまち」を宣言、認知症施策の強化に乗り出した。市内に住む認知症の人は推計で現在約9500人いるが、何も手を打たなければ7年後には約1万800人に増加すると予測されている。

 19年度は、4月に市立病院に認知症外来を開設して受診体制を整備。夏休みには小学生を対象とした認知症サポーター養成講座を開催するなど、支援の取り組みも広げていく。

 市高齢福祉課は「タブレット端末を活用した認知機能検査はおおむね想定通りの利用状況になっている。発症を遅らせるには認知機能の低下を早期に発見することが重要。検査できる機会を増やすことで医療機関受診のきっかけになってほしい」と話している。

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