筑波大・斎藤教授が講演 「対話の回復、継続を」 土浦 引きこもり対応説く

©株式会社茨城新聞社

「引きこもりには対話が大事」と話す斎藤環教授=土浦市下高津

引きこもりへの理解と支援を考える学習会が16日、土浦市下高津の霞ケ浦医療センターで開かれ、精神科医で筑波大医学医療系の斎藤環(たまき)教授(57)が講演した。引きこもりに絡む事件が起き社会問題化していることについて「引きこもりが危険というのは誤り」とした上で「家庭内での対話の回復と継続が大切。本人が安心して引きこもれる関係づくりから出口が見いだせる」と訴えた。

斎藤教授は、引きこもりが大きな社会問題になったのは20年ぶりと指摘し、「200万人の引きこもりのうち事件は数件に過ぎない。犯罪率は低く、基本は安全」と、引きこもりと犯罪を結び付けることは誤りと強調した。

引きこもりは不登校からなることが多く、毎年、数万人が引きこもり、社会復帰せずに増えたり長期化・高年齢化したりしていると現状を示した。引きこもりは「たまたま困難な状況にあるまともな人」とし、自分自身の状態を肯定的に受け入れられるようになれば出口に近づくという。

親の関わり方について、怠けや甘えを指摘・批判したり説教したりするのは禁句だとし、当事者の声に耳を傾け受け入れることの大切さを説いた。当事者との接し方を「仲のよい友達の子を預かる距離感がいい」と例え、個人の権利や尊厳に配慮すべきと述べた。消費活動は社会参加の一歩になるため、月平均2万円ほどの小遣いをあげることを奨励。ただし、家庭内暴力は絶対に許さない姿勢を持ち、警察への通報や家を出る避難も必要と語った。

斎藤教授は「家庭は最初と最後の支援者。根気と時間がかかるが、孤立させず放っておかないという気持ちを保ち続けながら、信じて待つことが大事」と助言した。

講演会は県南地域医療懇話会が主催し、市民ら約200人が参加した。(綿引正雄)