9月からのごみ有料化理解を 海老名市がサンプルや補助金

サンプルの配布が予定されている海老名市の指定有料ごみ袋のイメージ(同市提供)

 海老名市は、9月30日からの家庭系ごみの一部有料化と戸別収集の導入に向けた取り組みを推進し始めている。今月9日に住民向けの説明会をスタートし、市内15カ所で計33回の開催を予定。今後は全世帯に指定有料ごみ袋のサンプルの配布や、集合住宅向けにごみ集積所の設置・維持の補助金交付にも乗り出すという。市民に新たな負担を求める施策だけに、少しでも理解を広げたい考えだ。

 市は、環境保護やごみ焼却施設の負荷軽減などの観点から、2021年度の年間焼却量の目標値として2万5千トンを掲げる。だが、近年の焼却量は2万9千トン前後で推移。目標値を上回っており、ごみ減量化が課題となっている。

 そのため、市は一部有料化と戸別収集の導入を盛り込んだ条例改正案を昨年10月の市議会に提出。閉会中の継続審査を経て、同11月の市議会で条例改正案が可決された。

 今月9日に始まった住民向け説明会ではこうした経緯や、ごみの新たな出し方などを具体的に説明している。自由参加で、時間は質疑応答を含めて約1時間ほど。会場は市役所本庁舎や各地域のコミュニティーセンターなどで開いている。発信の場を少しでも広げるため、同じ内容で自治会向け説明会も開く。

 また、指定有料ごみ袋のサンプルの全世帯配布にも取り組む。

 7月現在で市内に住民登録がある世帯を対象に、引き換えのためのはがきを送付。8月から市内コミュニティーセンターや自治会館などに指定の日時・場所ではがきを持参すれば受け取れる。配布枚数は世帯人数に応じ、4人以上世帯では燃やせるごみ用の20リットル袋10枚入りを2組渡す。

 戸別収集に切り替わっても収集方法に変更がなく、恩恵の薄いアパートなど集合住宅に対しては、支援も拡充する。

 ごみ集積設備の設置や維持管理に関する補助金を交付するもので、集積設備本体やカラスよけネット、監視カメラなどの購入などに当たり、費用の75%を上限10万円まで補助する。

 市は、一連の事業費約2500万円を計上した補正予算案を開会中の市議会第2回定例会に提出している。

 市議の一部や住民には新たな家計負担を強いる施策への反発や疑問の声も残っているが、市では理解を求めていきたい考え。内野優市長は「家庭系ごみの一部有料化、戸別収集の導入には万全な体制で臨む。混乱もあると思うが、その都度、手立てを考えながら一つ一つの課題の解決に取り組んでいく」としている。

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