西武森、捕手4人目の首位打者なるか “巨人阿部超え”の捕手最高打率も期待

西武・森友哉【写真:荒川祐史】

捕手の重責を果たしながらパ打率1位をキープ、史上4人目の快挙なるか

 西武の森友哉がパ・リーグ打率1位をキープしている。正捕手の重責を果たしながらのこの好成績は称賛に値する。

 西武は昨年オフに炭谷銀仁朗が巨人にFA移籍。辻監督は森を正捕手に据え、今季出場した61試合中、58試合でマスクをかぶっている。

 2012年、森友哉は高校2年生の時、1学年上の藤浪晋太郎(阪神)とバッテリーを組んで甲子園の春夏連覇を達成。2013年、ドラフト1位で西武に入団した。「打てる捕手」としての期待がかかったが、入団当初は炭谷が正捕手だったこともあり、指名打者として起用されることが多かった。

 2015年には20歳で打率.287をマーク。打撃ランキング8位につけたが、指名打者での出場が109試合、外野で23試合。捕手としては出場がなかった。このまま強打を活かすため、DH、あるいは他のポジションで起用されるかと思われたが、一昨年に辻発彦監督が就任すると捕手での起用が増え、昨年は136試合に出場し、81試合でマスクをかぶった。

 捕手の首位打者は過去、3人しかいない。

1965年 .320 野村克也(南海)
 136試488打156安(捕)133試合

1991年 .340 古田敦也(ヤクルト)
 128試412打140安(捕)127試合

2012年 .340 阿部慎之助(巨人)
 138試467打159安(捕)116試合(一)21試合(指)1試合

 1965年の野村は、42本塁打110打点で戦後初の3冠王。MVPを受賞している。1991年の古田は入団2年目での首位打者。捕手の初代首位打者だったヤクルト野村克也監督の抜擢に応えたものだ。2012年の阿部は104打点で打点王、MVPにもなっている。

 3人共に2000本安打を達成した球史に残る強打の名捕手だ。

捕手の打率歴代10傑は錚々たる顔ぶれ、1位は阿部の.340

 また、森は現在の打率.344をキープすれば、捕手としての最高打率の可能性も出てくる。

 捕手の打率歴代10傑。打率の後の()は順位。

2012年 .3404(1)阿部慎之助(巨人)
 138試467打159安(捕)116試合(一)21試合(指)1試合

1991年 .3398(1)古田敦也(ヤクルト)
 128試412打140安(捕)127試合

2004年 .338(3)城島健司(ダイエー)
 116試426打144安(捕)114試合  (指)1試合

2003年 .330(6)城島健司(ダイエー)
 140試551打182安(捕)140試合

2003年 .328(3)矢野輝弘(阪神)
 126試433打142安(捕)123試合

1949年 .328(4)土井垣武(大阪)
 126試473打155安(捕)123試合(三)1試合

1946年 .325(3)土井垣武(阪神)
 99試412打134安(捕)95試合(三)6試合(外)1試合

2001年 .324(2)古田敦也(ヤクルト)
 121試441打143安(捕)116試合

1950年 .3224(5)土井垣武(毎日)
 112試428打138安(捕)112試合(三)1試合

1997年 .3222(3)古田敦也(ヤクルト)
 137試509打164安(捕)137試合(一)1試合

 2015年の日本ハム、近藤健介は.326(3)をマークしたが、DHでの出場が70試合、捕手では58試合なので含めなかった。

 錚々たる「打てる捕手」が並んでいる。ペナントレースが佳境に入る中、打撃好調を維持しながら捕手として投手をリードするのは重責だが、8月に24歳になる森は、この顔ぶれのトップに立つことができるだろうか。(広尾晃 / Koh Hiroo)

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