<レスリング>【2019年全日本選抜選手権・最終日/特集】優勝選手の声(オリンピック階級)

(2019年6月16日、東京・駒沢体育館/取材=布施鋼治、斉藤葵、松本一葉)


樋口黎(日体大助手)

 ■男子フリースタイル65kg級優勝・樋口黎(日体大助手=決勝で乙黒拓斗に鮮やかなテクニカルフォール勝ち。プレーオフへ)「1年間、フィジカル面と技術面を見つめ直してきたことがしっかり出せた。(決勝は)攻めた後の対処をもう少しうまくできれば、さらによかったと思います。毎日ビデオを見て乙黒選手の攻撃を研究してきたので、その対策がしっかりできたということと、自分の持ち味の片足タックルに入れたことが勝因かなと思います。

 プレーオフに勝たないと意味がないので、それに向けて頑張っていきます。厳しい闘いになると思います。3週間でもう少し微調整してやっていかないといけない。しっかり練習していい状態で臨めるようにしていきます」


文田健一郎(ミキハウス)

 ■男子グレコローマン60㎏級優勝・文田健一郎(ミキハウス=決勝で太田忍とのライバル対決を制し世界選手権代表に内定)「やっと世界選手権に出場する権利を獲得できました。決勝は『スタンドではお互い技が決まり切らなくて、グラウンドでの勝負になるだろう』というイメージした通りの展開になりました。がぶりやローリングが来るということも分かっていた。今回、がぶりはきっちり切りましたし、前回はグラウンドから立たれてしまったけど、今回は立たせない練習もしてきました。

 試合全体を通して、いい作り方だったかなと思います。終着点ではなく通過点。これからもっと厳しい闘いがあってのオリンピックだと思っています。4月のアジア選手権で1敗しているので、その反省を活かしながら闘う、というのもありました」


須﨑優衣(早大)

 ■女子50㎏級優勝・須﨑優衣(早大=決勝で登坂絵莉との初対決を制す)「東京オリンピックに出場するためには、この大会で何がなんでも優勝しなければならなかった。私が勝つんだという強い気持ちを持って3試合に挑みました。決勝は自分が練習してきた流れで勝つことができた。強い信念を持ってやり切れたことが勝ちにつながったと思う。

登坂選手はリオデジャネイロ・オリンピックまでずっと憧れの選手でした。登坂選手がリオの表彰台に上がった瞬間から、私は「この選手を倒して私が東京に行く」と決意して、その思いを胸にやってきました。それから対戦する機会がなかったけど、今回できたことは神様が与えてくれた試練だと受け止めています。憧れだった選手を倒すことができてうれしかったです。プレーオフは東京オリンピックに出るための最後の闘い。東京オリンピックへの強い執念を持って、勝って世界選手権の代表になって、五輪代表の座を決めたい」


 ■女子53kg級優勝・向田真優(至学館大=世界チャンピオン同士の闘いに勝って世界選手権代表に内定)「決勝は、タックルになかなか入ることができなかったので、気持ちを切り替え、変でもいいからしっかりポイントを取ろうという強い気持ちで臨みました。自分の納得いくレスリングができていなかった。やっぱりタックルで取って、それでメダルを取れる選手を目指して、また練習を頑張りたいと思います。

 最後は気持ちが強い人が勝つことを、今大会いろんな選手を見て思いました。強い気持ちで最後まで闘い切れたことが優勝につながったのかなと思います。世界選手権まで大きなけがをしないように注意し、世界選手権で金メダルを取って、東京オリンピックにつなげられるようにしたい」


川井莉紗子とジャパンビバレッジの応援団

 ■女子57kg級優勝・川井梨紗子(ジャパンビバレッジ=伊調馨にリベンジして世界選手権代表の望みをつなぐ)「試合後はうれしい気持ちでいっぱいでした。落ち着いてみると、もう1回勝たないとならないことに気がつきました。帰ってからしっかり練習したい。決勝のことは、よく覚えていない。

 12月は攻める勇気がなかった。この半年間、負けたことより、なぜ自分のレスリングが出せなかったかをずっと考えて、苦しい日でした。今回は攻める気持ちしかなかった。技術のことより、メンタル面が課題でした。メンタル面の成長があったと思う。目標は変っていない。姉妹でオリンピックに出ることが目標。みんながオリンピックに出たいことを感じました。自分も出たいので、プレーオフは気持ちで負けないようにしたい」


土性沙羅(東新住建)

 ■女子68kg級優勝・土性沙羅(東新住建=決勝で古市雅子と対戦、残り10秒で逆転勝ちして世界選手権代表に内定)「本当にぎりぎりの闘いだったので、最後に勝ててよかったと思います。負けることは全然考えてなく、最後の最後まで絶対に点を取りに行くという気持ちでやっていました。後半はなかなかタックルが取れなくて、少し焦りがありました。

 手術をした直後は手が動かせなくて、レスリング復帰できるのかな、という不安もありました。本当にたくさんの人に支えていただいて、自分だけの力ではここに来られなかったと思います。支えていただいた方に感謝しています。今回で世界選手権の切符は取れましたが、まだ通過点。しっかり優勝できるように練習を頑張りたいと思います」

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