6月18日付

 連句といえば大学時代、松尾芭蕉と門弟が編んだ「猿蓑」をひたすら読むという講義を受けた記憶がある。花鳥風月、森羅万象を言葉に染み込ませて詠みつなぐ。詠み手一人一人の仕掛けによって、全体が壮大で繊細な小宇宙をなしていく様に俳人たちのすごみを感じたものだ。来年10月に開幕する国民文化祭で、連句の祭典が日南市で行われることが承認された。日本連句協会常任理事で同市出身の近藤蕉肝さんは2年前から、同市などでの実作会を通して普及活動に努めている。東京在住で毎月帰郷して精力的に動いているが、本県の連句人口はまだ微々たるもの。一つはその魅力がよく理解されていない点にあろう。実作会で体験させてもらったが、自然の中に組み込まれていくような高揚感があった。

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