地震や風水害 被災建物を即時予測 横国大などサイト公開

首都圏を直撃した2017年の台風21号による建物被害を予測した「cmap.dev」の画面

 地震や風水害時の建物被害を即時予測し、地図上に市区町村別で表示するウェブサイトが17日、公開された。西日本豪雨や北海道地震など大規模災害が続発した2018年の経験を踏まえ、あいおいニッセイ同和損害保険と横浜国立大、再保険仲介のエーオンベンフィールドジャパンが共同開発した。被災地域と被害規模をいち早くつかむことができ、初動対応や迅速な支援につなげる狙いがある。

 地震は震度5弱以上が観測された場合、約10分後に建物被害の棟数を推定。台風接近などに伴う風水害では、地域ごとに基準を定めたアメダスの降水量(最低80ミリ)か30メートル以上の最大瞬間風速が観測されると、1時間ごとに被害の推定結果をサイトに示す。

 どの災害でも、全壊や半壊といった被害の大小は区別せず、地震の場合は建物の部分的な損壊、水害は床上浸水、風害では屋根瓦のはがれなどが被害の棟数にカウントされる。

 算定の基となる建物の立地状況については、航空写真などから全国のデータベースを構築。地盤の強弱や土砂災害の危険性、標高を加味し、過去の災害における保険金の支払い実績も反映させているという。

 サイトでは、リアルタイムの風や降雨の状況、気温なども表示できる。台風研究の成果を提供した横浜国大の筆保弘徳准教授(気象学)は「平常時から身近な地域の危険性を確認することができる」と公開の意義を強調する。

 サイト名は「cmap.dev(シーマップ)」。この名称で検索すると、パソコンやスマートフォンなどで誰でも閲覧可能。関西空港が浸水した18年の台風21号や16年の熊本地震などについての推定結果も公開している。

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