引きこもり40歳以上3割 5年以上半数 神奈川県調査

 中高年の引きこもりが深刻化している問題を巡り、神奈川県は17日、県内の行政機関などが支援している約2千人のうち、40歳以上が約3割に上るとする調査結果を明らかにした。5割近くは、引きこもり状態が5年以上続いていることも判明。黒岩祐治知事は「地域全体で引きこもりの当事者や家族を支援し、誰一人取り残さない社会の実現を目指す」と述べた。

 引きこもりの高齢化・長期化による「親子共倒れ」のリスクが指摘される中、今回の調査で県内の実態の一端が浮かび上がった。しかし、全容把握は困難としており、孤立するケースをどう支援につなげるかは依然として課題だ。国は40~64歳の引きこもりの人が全国に61万3千人いるとの推計値を公表している。

 県が昨年11月に初めて実施した調査は、県内の保健所やNPOなどが対象。回答があった257機関が「相談」や「支援」で把握している15~64歳の2044人の属性をまとめた。

 男女別内訳は、男性75.1%、女性24.9%。年代別内訳は30代が最も多い33.0%で、20代(25.7%)、40代(21.0%)と続いた。39歳以下が全体の71.5%を占めた。

 引きこもり状態の期間は、6カ月~1年未満が最多の225件(22.4%)、次いで2~3年未満が132件(13.2%)。3~5年未満、10~15年未満がそれぞれ128件(12.8%)で、5年以上は48.4%、10年以上は30.5%に上った。

 県は「相談が寄せられるなど、表面化している人のデータだけでも高齢化や長期化がみられる」と指摘。民生委員やケースワーカーなど地域で連携し、潜在的な引きこもりの人も支援を受けられるよう対策を検討していくとしている。

 同日の県議会本会議で、柳下剛氏(自民党)の代表質問に答えた。

© 株式会社神奈川新聞社