河北春秋(6/18):深作欣二監督の映画『仁義なき戦い』でハッ…

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 深作欣二監督の映画『仁義なき戦い』でハッとさせられたせりふがある。菅原文太さん演じる暴力団組員が、弱音を吐くかつての仲間に忠告する場面。「狙われるもんより狙うもんの方が強いんじゃ。そがな考えしとったら、スキができるぞ」▼映画の世界に限らず、狙われる方は弱い。不意打ちを食らえば、拳銃や警棒を持った警官でも防ぎようがない。大阪府吹田市の千里山交番で巡査が刃物で刺され、拳銃が奪われた事件の報道を見てそう感じた。きのう強盗殺人未遂容疑で男が逮捕された▼拳銃による人的被害が確認されていないことに安堵(あんど)した人も多いだろう。G20サミットを控えた大阪の人々を恐怖に陥れた容疑者は、なぜ事件を起こしたのか。心の闇の解明が待たれる▼昨秋、仙台市で起きた警官刺殺事件など交番が襲撃される事件が後を絶たない。道案内、落とし物の受け付け、迷子や酔っぱらいの保護…。交番は住民の心のよりどころである。地域を守る「おまわりさん」の安全が脅かされることがあっては絶対にならない▼警察庁はさまざまな対策を進めている。「完全に防ぐのは難しい」との指摘があるが、一歩でも二歩でも完全に近づけたい。わずかな前進が誰かの命を助けることにつながると信じ、地道な努力を重ねるしかない。(2019.6.18)