徴用工の苦労 想像して 手帳取得までの闘い記録 支援者ら「揺るがぬ証言」自費出版

元徴用工3人の歩みをまとめた本を手にする金さん(右)と平野さん=長崎市役所

 戦時中に三菱重工業長崎造船所(長崎県長崎市)に徴用され、原爆に遭ったとして韓国人元徴用工3人が長崎市と国に被爆者健康手帳の交付などを求めた訴訟の支援者らが、3人の手帳取得までの闘いを記録した「揺るがぬ証言」(A5判、251ページ)を自費出版した。

 今後、全国にある被爆者や徴用工の支援団体などに無料で配布する予定。自費出版した刊行委員会メンバーで、市民団体「在外被爆者支援連絡会」共同代表の1人、平野伸人さん(72)は「今後の市民運動のモデルケースになるのではないか」としている。

 同訴訟では1月、長崎地裁が長崎市に韓国人元徴用工3人への手帳交付を命じ、確定した。本は3人の手帳申請から提訴し、手帳を取得するまでの4年余りの歩みをまとめた。活動を支えた原告団の弁護士や市民団体の関係者ら9人が寄稿、平野さんが監修した。

 17日、平野さんや、3人のうちの1人、金成洙(キムソンス)さん(93)らが長崎市役所で会見。金さんは「勝訴できたのは長崎の皆さんのおかげ。この本を手に取って、徴用工の苦労を想像してほしい」と呼び掛けた。金さんは18日に市役所で田上富久・長崎市長と面会する予定。

 本は非売品で、千部発行。問い合わせは平和活動支援センター(電095.822.5253)。

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