注文殺到の「絶対踏み間違えない車」、運転してみた

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太田清

47NEWS編集長

太田清

47NEWS編集長

共同通信社入社後、広島支局、大阪社会部、外信部、経済部、ベオグラード支局、モスクワ支局、ローマ支局などを経て2016年より現職。イトマン事件、阪神大震災、コソボ紛争、ユーゴ空爆、モスクワ劇場占拠、アフガン紛争、ギリシャ財政危機、東日本大震災などを取材。

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試乗車に取り付けられたワンペダル

 連日のように高齢者のブレーキとアクセルの踏み間違いによる自動車事故が伝えられている。東京・池袋で4月、乗用車が暴走し、母子がはねられ死亡した事故でも踏み間違いによる可能性が指摘されるなど、重大事故につながるケースも多く、社会の不安が高まるばかりだ。一方で絶対踏み間違いが起きないよう改造された車も存在する。どのような車なのか。筆者が試乗してみた。 (共同通信=太田清) 

 踏み間違いが起きないというのは、そもそもペダルがブレーキのための一つしか存在しないからだ。ではアクセルはというと、ペダルはなく、ブレーキペダルの右横に付けられたレバーを足で横に押すことで加速する仕組み。熊本県玉名市のナルセ機材が開発した「ワンペダル」と呼ばれる商品で、オートマチック車であればほとんどの車に取り付け可能だ。アクセルを押している際にブレーキを踏めば、自動的にアクセルが戻る「クラッチ機能」も付いている。 

 取り付け協力店である東京都小金井市のフジオートでは、日産自動車のノート(2016年型)にワンペダルを取り付けた試乗車を用意し一般の人も予約すれば試乗可能。筆者が試乗車に乗り込むと足元のスペースにはブレーキペダルしかなく本来、アクセルペダルがある場所には何もない。アクセルレバーを足で右に押すと車はゆっくりと動き始めた。 

 少し押すとゆっくり加速し、さらに加速したいときはレバーを大きく右に押す。当初は戸惑ったものの、筆者はフロントブレーキとスロットルがハンドルのほぼ同じ位置にあるオートバイを運転することもありすぐ慣れた。足首だけを動かすと可動域が限られることから、大きく加速したいときは股を開くように膝の部分から足を動かすのがこつだ。 

ワンペダルの仕組み。ナルセ機材提供

 逆にブレーキの方が多少の違和感を覚えた。踏む力がいつもより必要な感じがして、効きが弱いと思いさらに踏み込むと急に効いてしまう、いわゆるカックンブレーキとなってしまう。決してブレーキが効かないわけではない。何かあった時にアクセルからブレーキに踏みかえる時間が必要ないメリットもある。慣れも必要だとは思うが、フジオートの技術担当、生田弘幸さんによると、装置を付けたためブレーキペダルの位置が上方に移動したことで、そう感じやすくなると言う。この点はペダル位置を調整することである程度は修正できるというが、やはり試乗などして体験してみることをおすすめする。 

 ナルセ機材のワンペダルアドバイザー荒田晃慎さんによると、ワンペダルの歴史は長く、主に踏み間違い事故防止を目的に1991年に発売開始しこれまでに約900機を売り上げた。

 当初は知名度が低いこともあり1年に10機程度の販売だったが、福岡市博多区で2016年、暴走したタクシーが病院に突っ込み3人が死亡、7人が負傷した事故をきっかけに関心が高まり、一気に販売数が伸び、最近は注文や問い合わせが殺到。それぞれの車に合わせた受注生産であることから年間120機程度の生産が限度で、今注文しても取り付けまで半年待ちの状況。この点は、今後も注文が増えれば、人気車種についてあらかじめ生産した上で在庫とし、納品までの期間を短縮することも検討しているという。 高齢者本人のほか、家族による問い合わせも多いという。

 価格は同社に持ち込み取り付ける場合は18万3600円、フジオートなど取り付け協力店などで取り付ける場合は21万6000円。価格については今後、ある程度の数量が販売できるようになれば引き下げも検討したいとのこと。右足が不自由な人向けの、右足のほか左足でも操作できるダブルタイプもある。

ナルセ機材ワンペダルの紹介ページ

http://www.onepedal.co.jp/index.php