【新世代の抵抗】200万デモの衝撃 新SNS拡散 壁越えた香港市民

日本の国会を包囲するデモ隊=1960年6月18日(左) 中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案の撤回を求めデモ行進する香港市民たち(右)=2019年6月16日

 香港から中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正に反対する香港市民の大規模デモ。今月9日には103万人、16日には主催者発表で「200万人」が参加した。香港政府トップの林鄭月娥行政長官は18日会見して混乱を招いたとして市民に謝罪、逃亡犯条例について、市民の理解が得られない限り「絶対に改正作業を再開しない」と述べた。

 デモ参加の若い世代が積極的に活用しているSNSは保秘性が高い通信アプリ「テレグラム」。中国大陸から「大量のデータを送りつけ通信機能をまひさせる『DDoS攻撃』を受けた」(テレグラム創業者)という。2014年の民主化選挙を求めた「雨傘運動」は目的が果たされず、その後、社会に無気力感が漂った。しかし、今回はその運動に参加していなかった10代の若者が加わっている姿が目立つ。

 ネットを巡り「統制」と「抵抗」の狭間で香港の新世代はデモ行動も進化させ、民意を世界に伝えた。奇しくも6月18日は59年前、日本の国会が日米新安保条約の抗議デモ(参加者約33万人)によって包囲された日だ。

(共同通信=柴田友明)

香港中心部の幹線道路で、「逃亡犯条例」改正案の撤回や林鄭月娥行政長官の辞任を求め、抗議のプラカードを掲げる男性=2019年6月17日(共同)
「逃亡犯条例」改正案の撤回を求めデモ行進する人たち=2019年6月16日、香港(共同)

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