BTCC第4戦:BMWのアンドリュー・ジョーダン連勝、フォード・フォーカスRSも初勝利

 BTCCイギリス・ツーリングカー選手権の2019年シリーズはクロフトで第4戦を迎え、WSRウエスト・サリー・レーシングのアンドリュー・ジョーダン(BMW330i Mスポーツ)がレース1ポール・トゥ・ウインから連勝を決め、今季5勝目をマーク。最終レース3はトム・チルトンのフォード・フォーカスRSが今季初勝利を飾っている。

 6月17~18日にノースヨークシャーの元エアベース跡地に広がるイングランドらしい伝統のトラックでの1戦は、予選からWSR“3台目の男”ともいうべきイエロー&ネイビーのBMW Pirtek Racing、2013年王者ジョーダンが速さをみせ、前戦2勝を記録した勢いそのままにBMW3シリーズ初のポールポジションを獲得した。

「本当におかしなセッションだったね。途中から雨が降り、結局5度目の赤旗で予選終了。考えてもみない展開だったけど、最速タイムを出せていてラッキーだったよ」

 天候急変で荒れた予選ながら上位にはさすがの実力者たちが並び、フロントロウには今季からスイッチのFK8ホンダ・シビック・タイプRでチーム史上最高のシーズンを送るBTCレーシングのクリス・スマイリーがつけ、セカンドロウにチルトンのフォードと王者コリン・ターキントン(BMW330i Mスポーツ)、3列目に参戦2年目で名門WSRに加入したトム・オリファント(BMW330i Mスポーツ)が並び、その背後に2017年王者のチームBMR、アシュリー・サットン(スバル・レヴォーグGT)のグリッドとなった。

 その後も週末を通じて路面コンディションが刻々と入れ替わるミックスコンディションの展開が続き、各陣営はダンロップのSport MaxxドライタイヤとBluResponseのレインタイヤ、どちらを選択するかでまったく局面の変わる難しい戦いを強いられた。

 そのレース1はスタート直前に小雨が落ちるも、ほぼ全車がスリックを選択してのレースに。すると序盤でPMRパワー・マックス・レーシングのロブ・コラード(ボクスホール・アストラBTCC)がコースオフし、長らくのセーフティカー(SC)ピリオドとなる。

 この間も集中力を切らさず、タイヤの温度管理と路面改善によるグリップ変化に気を払ったジョーダンは、リスタート後のスプリントでも2番手スマイリーを寄せ付けず完勝。開催前に引き直された新舗装の効果もあり、ラップレコード更新で今季4勝目を手にした。

 2位にホンダのスマイリー、3位にフォードのチルトンとなった表彰台以下、5番手まで予選グリッドとポジション変動はなく、6番手だったサットンのみチーム・ダイナミクスのダン・カミッシュ(FK8ホンダ・シビック・タイプR)にかわされ7位に陥落している。

予選は中盤から雨絡みとなり、都合5度の赤旗が出る大荒れのセッションとなった
R1でスバルのアシュリー・サットンを仕留めて6位のダン・カミッシュは、R2で3位表彰台を獲得
前ラウンドから数えて5戦で4勝と圧倒的な強さを見せている2013年王者のアンドリュー・ジョーダン
R1では2位表彰台も、R2の最終周でまさかのアクシデントに見舞われたクリス・スマイリー
連勝を決めたアンドリュー・ジョーダンはランク4位に浮上。2位の王者コリン・ターキントンは首位を堅持した

 続くレース2もポールから出たジョーダンがスタートから快適なリードを築くと、2番手スマイリーが苦難に見舞われ、5周目にはディフェンディングチャンピオンのターキントンにかわされると、その後もチーム・ダイナミクスの2台、同じFK8シビックであるカミッシュ、マット・ニール(FK8ホンダ・シビック・タイプR)に先行され5番手に。

 そのままファイナルラップまで入賞圏内を維持していたスマイリーだが、残すコーナーふたつというところでサットンのスバル・レヴォーグGTとサイド・バイ・サイドのバトルとなり、サクセスバラスト満載のFK8シビックは軽いコンタクトで弾き出されバリアに接触。ここでレースを終えることとなってしまった。

 レース1から連勝を決めたジョーダンは「これ以上望めない結果だよ。フルバラストを搭載して連勝を飾るなんて、BTCCではなかなか起こりえないことだからね」と、新型BMW330iの開発進捗にも満足げ。

 2位にもWSRのチームメイトである王者ターキントンが続き、BMW3シリーズがワン・ツーを達成。3位にHalfords Yuasa Racingのカミッシュ、4位に同僚のニール、そして最終ラップの逆転劇でポジションアップを決めたサットンのトップ5となった。

 スタート直後の大雨でヘビーウエットでの戦いとなったレース3は、リバースグリッド抽選でポールポジションを引き当てたフォードのチルトンがレースをコントロール。レース2で9位となっていたモーターベース・パフォーマンスのフォーカスRSは、BTCレーシングのジョシュ・クック(FK8ホンダ・シビック・タイプR)、PMRのジェイソン・プラト(ボクスホール・アストラBTCC)を引き連れウエットタイヤでのバトルを制し、そのままトップチェッカー。今季初勝利を挙げ、ランキングも7位に急浮上するなど最高の形で週末を締めくくった。

 その表彰台背後では、R2のファイナルラップに起きたアクシデントにより5グリッドダウンのペナルティを受け、一時は8番手を走ったサットンのスバルが4位にまでカムバックし、週末最高位でフィニッシュ。5位にホンダのニール、6位に王者ターキントンが続きランク首位を堅持。これでBMWがマニュファクチャラーで首位、Halfords Yuasa Racingがチームランキングのトップをキープしている。

 続くラウンド13、14、15となるBTCCイギリス・ツーリングカー選手権第5戦は、6月29~30日の週末にオールトン・パークを舞台に争われる。

予選のロリー・ブッチャーとともに、AmDのサム・トルドフもアクシデント続発でトップ10に絡めず
R2の接触で5グリッド降格ペナルティを受けたアシュリー・サットンは、R3で週末最上位の4位まで帰還した
BTCレーシングは、ジョシュ・クックもR3で2位。大ベテランのジェイソン・プラトもボクスホール自己最上位の3位ポディウムを得た
「これでようやく僕のシーズンが開幕した」と語る元WTCCドライバーのトム・チルトンがR3を制した
トヨタ・カローラBTCCのトム・イングラムはR3でセカンドロウからスリックを履くギャンブルも、16位に終わる

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