風俗業界にとって実に画期的な「事件」が起きた 関西で20店舗を超える“セクキャバ”摘発の裏で…

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風俗業界にとっては、新たな脅威となるのか? ある意味、画期的とも言える「事件」が起こった。

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関西で20店舗以上のセクシーキャバクラ(関西ではツーショットキャバクラとも)を経営する実質経営者らが、5億円の所得隠しを指摘されたのだ。6月7日、全国紙各紙が報じた。

所得隠しを指摘されたのは、大阪や神戸でグループ店舗を経営する実質経営者ら2人。所得隠しの方法は単純と言えば単純で、各店舗の売り上げを申告せず、所得税や消費税を支払わなかったほか、従業員に対する源泉所得税を納めることも怠っていたという。それにより、2016年までの5年間で5億円の所得隠しをしていた。

その結果、実質経営者らは、重加算税などを含めて約5億円を追徴されることになったのである。ちなみに、指摘後、速やかに追徴金は支払ったという。いまどき、一時に5億を支払えるというのは、よほど儲けがあったのか、なんらかの形で潤沢な資金があるのだろうか……。

さて、今回の「事件」のなにが画期的なのかと言うと、

いままでは“ブラックボックス化”していた風俗店の金の流れに、税務署が切り込んだということだ。

もちろん、伝統的な風俗店などはそれなりに経理の体裁も整えており、すべてがそうとは言えない。しかし、今回追徴されたセクキャバや数を把握するのも難しいデリヘルなどは、正直、税務署側も手がつけられない面があったのではないか。その困難な税務調査を実行したという意味で、画期的と言えるのだ。

実はこの大規模な所得隠しの摘発には、地元大阪国税局の執念とも言える調査があった。朝日新聞(6月7日)によると、「担当部署を横断した約60人体制のチームを編成」。また、証拠隠滅や口裏合わせを防ぐとともに、経理資料確認のため、複数の店舗へ同時に踏み込んだというのだ。言ってみれば、国税としても面子をかけた摘発であった。

今回の摘発を風俗業界は他人事としてみるのか? いや、そういうワケにもいかないだろう。

大阪国税のように“本気”を出せば、とかく金の流れが不透明と言われる風俗業界も摘発できる、と証明されたのだ。大阪のセクキャバ経営者は追徴課税で済んだが、悪質で高額の脱税と判断されれば逮捕もある案件である。

風俗業界との直接的な関係はないか、暴力団に対する税務関係からの摘発に警察が力を入れ始めてから久しい。つまり、金の流れを把握し、そこに不法なものを見つければどんどん摘発していくということ。

大阪国税が凱歌をあげたことで、その他の国税が注目され、またプレッシャーを受けているのは間違いない。風俗業界はこの出来事を他山の石として、自らの襟を正す機会だろう。(文◎鈴木光司)

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