クモ糸の配列構造を解明

鶴岡・先端研、河野特任講師のグループ

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クモ糸の多様性についての研究対象となったオニグモ(慶応大先端生命科学研究所提供)

 慶応大先端生命科学研究所(鶴岡市、冨田勝所長)は18日、同研究所の河野暢明(こうののぶあき)特任講師(33)を中心とするグループがオニグモのゲノム(全遺伝情報)に基づき、クモ糸の種類ごとのタンパク質と関連遺伝子の配列構造を世界で初めて明らかにしたと発表した。糸の強さに関わるとみられる新たなタンパク質の存在も分かり、今後の人工構造タンパク質素材の開発に大きく貢献するとしている。

 河野特任講師によると、クモは自身をつるす糸(けん引糸)や移動に使う糸、卵を包む糸など、最大7種類の糸を用途に応じて使い分けている。オニグモは日本に広く生息する大型のクモで、7種類ある糸の全てを使い分けることから研究対象に選んだ。合成クモ糸繊維など人工構造タンパク質素材の開発に取り組むスパイバー(同市)と共同で研究した。

 河野特任講師らは、ヒトを上回るほど情報量が多いクモのゲノムについて独自技術を用いて解読に取り組み、塩基配列を特定。そこから得られた情報や成分解析などから、7種類の糸に用いられる計11種類のタンパク質とそれぞれの遺伝子の配列構造を解明し、糸の種類ごとにまとめた。

 このうち最も強靱(きょうじん)なけん引糸については、従来から知られていた二つのタンパク質に加え、MaSp3(マスプスリー)という新規のタンパク質と、SpiCE(スパイス)と名付けた低分子タンパク質群の存在も発見した。これらがクモ糸の強度に関わっている成分とみられる。

 研究内容は英科学誌に掲載された。河野特任講師は「先端研が培ってきた、膨大なデータを一気に解析する技術が生きた。新たに見つかった成分や他の種類のクモについてさらに調べ、研究を充実させたい」と話している。