日の丸「翼」の正念場 名称改め… 三菱「MRJ」から「スペースジェット」

三菱航空機が開発中の国産初のジェット旅客機MRJから名称を改めた「スペースジェット」(上は同社提供、下はパリ国際航空ショーで展示した機体)

 三菱重工業が傘下の三菱航空機を通じて注力する国産初のジェット旅客機MRJ(三菱リージェナルジェット)。10余年前に事業化が決定、当初は2013年の初号機納入を目指したが、これまで5回にわたって開発スケジュールが延期された。現在400機を受注したが、ここ3年間はゼロの状態が続いている。

 三菱重工はカナダ・ボンバルディアの小型ジェット機事業を買収して、事業のサポート体制を充実させ、反転攻勢を目指す。今月13日に名称を頭文字に由来する「MRJ」から「スペースジェット」に変更すると発表。17日にフランスで開催中の航空見本市「パリ国際航空ショー」で、三菱航空機の水谷久和社長は「変化を求める市場への我々の答えだ」とメディア取材に答え、世界の旅行客に貢献したいとの考えを示した。

パリ国際航空ショーで展示された三菱航空機の「スペースジェット」=2019年6月18日、パリ近郊(共同)

 ライバルのブラジル大手エンブラエルはボンバルディアに競り勝ち、高性能エンジン搭載の新型機納入を始めている。新名称「スペースジェット」は2020年半ばに航空当局から型式証明を取得後に全日空への納入を見込む。当初計画より7年遅れだけに正念場を迎えている。かつて燃費効率や客室内の快適性が売りだったが、エンブラエルは、ほぼ同じ性能に追いついたと指摘されている。

 パリ国際航空ショーでは従来の90席クラスの「M90」を公開。米国で飛行試験中の4機のうちの1機。紅白カラーが基調のデザインとなっている。実機公開は初めて。三菱航空機はさらに新機種の「M100」(65~88席想定)を投入して局面打開を図ろうとしている。(まとめ 共同通信=柴田友明)

パリ国際航空ショーのため、パリ近郊のルブルジェ空港に到着した「スペースジェット」の実機=2019年6月16日(三菱航空機提供)

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