この映画の何が「問題」とされたのか? ︎完成から5年、封印から解き放たれる映画『解放区』テアトル新宿にて上映決定!

©有限会社ルーフトップ

2014年、 大阪での映像制作者の支援と映像文化の発信を目的とするプロジェクト<シネアスト・オーガニゼーション大阪(通称:CO2)>で、 大阪市からの助成金を得られる企画募集において、 対象監督として選定され、 大阪アジアン映画祭での上映を目指して制作が開始されたのが映画『解放区』。 しかし、 映画完成後、 大阪市より内容修正指示を受ける事となった。 当時、 大阪市は釜ヶ崎(あいりん地区)の再開発を中心とした西成特区構想が進められており、 映画の描写が「相応しくない」とNOを突き付けたのだ。

太田監督は修正を拒否、 それによって大阪アジアン映画祭での上映も中止。 話し合いの結果、 最終的に太田監督は助成金を返還し、 『解放区』は、 完全に監督の自主制作映画として歩み始める。 東京国際映画祭やゆうばり国際ファンタスティック映画祭、 またいくつか上映の機会により映画は高い評価を得られたにもかかわらず、 5年間に渡って一般公開がされていない<幻の映画>となっていた。

2019年、 様々な社会問題に揺れる日本。 映画の主たる舞台となった西成区・釜ヶ崎にある〈あいりん労働福祉センター〉が閉鎖され、 いま現在も解放運動の只中にある。 そして、 翌2020年には東京オリンピック、 2025年には大阪万博開催。 ひとの「生活」が置き去りにされた、 狂騒的な再開発が進む現在、 失われつつある街と、 そこに生きる人間の姿を、 綿密な取材による圧倒的なリアリズムを土台とし、 誰も到達したことのないフィクションの高みへと飛び出した映画『解放区』が問いかけるリテラシー。 完成から5年の歳月を経て、 「いま」満を持しての劇場公開が決定。10月18日(金)よりテアトル新宿にて上映。 阪本順治監督(『どついたるねん』『王手』『半世界』)から熱いコメントが届いた。

阪本順治 (映画監督) コメント

ここ何年もの間に観た劇映画の印象がすべて吹っ飛ぶぐらい、 衝撃を受けました。 社会性を持ちながら、 劇映画本来の醍醐味がここにあります。 俳優の存在力、 カッティング、 自在に動くカメラ、 音や音楽など、 低予算にも関わらず条件の厳しさはまったく感じさせず、 いまの映画業界に愚痴ばかり言っている私は、 ですから、 ひどく落ち込みました。 そして遠い昔、 勝新太郎さんが私に言った「サカモト、 映画はね、 裏切りとすれ違いで成り立ってるんだよ」という言葉を思い出しました。 加えて、 「フィクションはノンフィクションのように、 ノンフィクションはフィクションのように、 作るべし」とよく先達が言っていましたが、 そのどちらでもありどちらでもないありかたに驚きました。 あらためて、 撮影隊=芸術を受け入れる度量の深さをあの町に感じ、 それでいて『解放区』はその題名のとおり、 決してあの地域のみに特化した作品ではなく、 この国に住む私たちの脆弱な精神性(排除や偏見や憎悪)にも関わる物語として、 あらゆる場所へ越境して行くべき作品です。 2020年、 2025年のバカ騒ぎに向けて、 日本の繁栄を最底辺から支えてきた人間たちと、 その営みを覆い隠して、 なんのための国づくりなのか。 自戒も含め、 まずは映画人が観るべき映画。 主人公の自業自得は、 あまりに痛快。 傑作!