壱岐でタイワンリスの食害が増加  2002~2018年 12万匹捕獲

 長崎県壱岐市では近年、タイワンリスによる食害が増えている。市は民間から買い取る方式で2002年から18年までに、わなを使って約12万匹を捕獲。農業被害が報告されるなど市民生活への影響も起きている。市は本年度、専門家による市民向け講習会を開いて捕獲数を増やし、被害軽減を図る。
 他地域で問題になっているイノシシなどがいない離島の壱岐での食害は珍しい。リスが野生化している理由として、市農林水産部の谷口実部長は「島外から誰かが持ち込んで増えたと認識している」と説明。1992年から2001年ごろまで同市内にあった民間施設「壱岐リス村」のタイワンリスが閉鎖後に逃げ出した可能性もあるが、市は「特定はできない」としている。
 農業被害としては、シイタケの原木がかじられたり、ブロッコリーが食い荒らされたりしているが、被害額の算出はしていないという。今月14、16日には市ケーブルテレビ(CATV)の幹線ケーブルがかじられ、放送障害が起きている。
 捕獲数は、02~08年が2万9750匹、09~13年が3万3264匹、14~18年が5万7426匹と増える一方。市は、捕獲技術向上の講習会を開くが日程は未定。五島市の取り組みを例にあげ、山奥などの人が立ち入らない場所でも捕獲をするなど対策を講じる。
 壱岐市議会定例会6月会議の一般質問で谷口部長が久保田恒憲議員に答えた。

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