北海道にも広がるAI最前線

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今週のMCは鈴木ちなみさん。
コメンテーターは北海道大学大学院経済学研究院の平本教授。

今回のテーマは「AI=人工知能」。
最近家電や車などにも搭載され、ますます身近な存在となっているAIだが、北海道でも活躍の場を広げつつある。

札幌のムラタが運営する「メガネのプリンス」。ことし4月に導入されたシステムでは、画面の前に立った客の顔の輪郭などをカメラで読み取り、約100種類の商品から似合う眼鏡を表示する。メガネのプリンス新札幌サンピアザ本店の伊東こずえ店長は「楽しみながら『こういうのも似合うんだ』という新しい発見などファッションや眼鏡にちょっとでも興味を持ってほしい」と話す。今後は海外のお店にも展開する予定だ。

企業向けのアプリ開発などを手掛ける、札幌のノースグリッド。今年のゴールデンウィークが10連休となったことから、AIを使った連休対策「AI秘書」を開発した。顧客から会社にかかってきた電話を文字に起こし、事前に登録してある緊急性の高いキーワードが含まれるか判断。その結果、急ぎと認識すれば担当者に電話をかける仕組みだ。

しかしこのAI秘書、イベント用に作った試作品で、実用化には至っていない。その理由は、音の質。電話回線を通すため音が聞き取りにくくなり、内容を完全に再現できないことも。1度のミスが信用を損ねるビジネスには、導入が難しいのが現状だ。
開発した技術部の岩崎玄弥さんは「機械にすべてをやらせるのではなく、機械が判断したことを人間が確認して対応を決めるような、人間が保証するような手順が必要」と話す。

北海道大学大学院の川村秀憲教授たちの研究グループが開発した「AI俳句」。
約30万の俳句を記憶したAIが写真に写っているものや季節などを分析。関連する俳句から単語や言葉遣いを組み合わせ、俳句を作る。学習に使うデータを変えると元の作者に近い雰囲気の俳句が作られるのだという。川村教授は「AIがテイストを学ぶことによって『ヒトの違いって何だろう』とか『センスの違いって何だろう』ということを研究する材料にもなる」と話す。

川村教授はAI研究の第一人者で、これまでに取り組んだ企業との共同研究は40を超えるという。そのうちの一つが恋愛支援「AILL(エイル)」。人間同士のメッセージのやり取りに対し、助言をしたり、好感度を数値化したりしてくれるAIだ。開発には「成果主義の現代で、若者は失敗したくない 傷つきたくない」という背景があるという。

こうした「人間の感情」への挑戦とも言える研究の意義、ヒトとAIの共存について川村先生に話を聞いた。
・「知能」と「感情や情緒」は別のものという捉え方もあるが、知能の源泉は感情や情緒を理解するなど「抽象的な情報処理」。
・感情を理解できれば本当の意味で人間と同じレベルで一緒に仕事することができるようになるかもしれない。
・他人やAIのやっていないような独自な視点で物事を考えたりオリジナリティのある行動を考えたりそういうところが上手くAIと差別化してヒトが活躍できる領域なのかな、と思う。

「AIが人手不足を解消する」と言われる一方で「AI人材が不足」という新たな課題も。人材育成の動きも広がっている。
札幌のモイ・e・クラス。生徒の自宅を訪れる出張型の教室で、子どもたちにプログラミングを教えている。特徴は「パソコン」を使わないこと。学校での清掃の手順を順番に書き出したり、ハサミでイラストを分解したりする授業だ。

運営する五嶋絵里奈さんはITのコンサルなどを手がける札幌の会社の代表で、約3年前から子ども向けの教室を始めた。プログラミング教育の普及活動もしている。「日常に起こっていることというのも分解することで表示・仕組み化ができるものが多い。小さなうちにプログラミングの概念を遊びながら感じたり体験したり、考える力が身につけばいい」と話す。

プログラミング教室の紹介サイトなどによる調査によると、プログラミング教室の市場規模は2013年からの6年で約17倍に増加。5年後にはさらに倍以上に伸びると予測している。背景にあるのは「教育改革」。2020年から小学校でプログラミング教育が必修化される。

「プログラミング教育」とは、「プログラミング」という新たな教科ができるわけではなく、従来の「算数」や「理科」に「プログラミング的な考え方=論理的思考」を取り入れるというもの。プログラミング教育の普及活動もしている五嶋さんは「学校間で格差が生まれるのでは」と心配している。「○×ではなく、個性を育てるような教え方をしてほしい」と話す。

「発展するAIの技術」にヒトはどう生きていくのか。
番組の最後には鈴木ちなみさんの一言。ちなみさんの感想のフルバージョンは、YouTubeなどのSNSで公開中。

(6月22日(土) 11:00~放送 テレビ北海道「けいナビ」より)