新潟県弁護士会会長、家具固定容認訴え 山形県沖地震受け再度、公営住宅での原状回復義務除外を

公営住宅を含めた賃貸住宅での家具固定の推進のため、原状回復義務の見直しが求められている(写真は2016年の熊本地震で倒れた家具)

新潟県弁護士会の齋藤裕会長は19日、18日の山形県沖を震源とする地震を受け、公営住宅における家具固定に関する談話を発表した。家具固定のために生じるねじ穴などの原状回復を求めないことを地方自治体に要望する内容となっている。

齋藤会長は13日にも家具固定に関する声明を同弁護士会のホームページに掲載したばかりだった。その内容は近年の災害において、けがの発生原因の多くが家具類の転倒や落下、移動だと指摘(2004年の新潟中越地震41.2パーセント、2007年の新潟中越沖地震40.7パーセントなど)。国土交通省の賃貸住宅の原状回復のガイドラインによると、固定のためのねじ穴などは賃借人の原状回復義務の対象となっているほか、新潟県の自治体として新潟市や長岡市も対象から除外していないことについて説明した。一方で東京都港区が2017年4月に区営住宅において原状回復義務の対象外としたことにも触れている。

齋藤会長は日本弁護士連合会(日弁連)の災害対策委員会副委員長を務めたことがあるほか、新潟中越地震、新潟中越沖地震や2011年の東日本大震災でも被災地で相談対応にあたった。固定のためのねじ穴などについて、国交省ガイドラインで原状回復義務の除外となっているエアコン同様に、通常の住まい方から発生するものとして取り扱い、地震のための安全対策ができるよう求めている。

■声明・談話はこちら
https://www.niigata-bengo.or.jp/%E4%BB%A4%E5%92%8C%E5%85%83%E5%B9%B4%EF%BC%96%E6%9C%88%EF%BC%91%EF%BC%98%E6%97%A5%E5%B1%B1%E5%BD%A2%E7%9C%8C%E6%B2%96%E5%9C%B0%E9%9C%87%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E4%BC%9A%E9%95%B7%E8%AB%87/(令和元年6月18日山形県沖地震に関する会長談話)

https://www.niigata-bengo.or.jp/%E5%8E%9F%E7%8A%B6%E5%9B%9E%E5%BE%A9%E7%BE%A9%E5%8B%99%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%97%E3%80%81%E5%85%AC%E5%96%B6%E4%BD%8F%E5%AE%85%E3%81%AA%E3%81%A9%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E5%AE%B6%E5%85%B7/(原状回復義務に関し、公営住宅などにおける家具固定の普及策を求める会長声明)

(了)

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