中東ホルムズ海峡近くで日本の海運会社のタンカーなど2隻が攻撃された事件は発生から1週間を迎えた。「実行犯」は米国が主張するイランのほか、イランと対立するサウジアラビア、イスラエルなど諸説が報じられている。現場海域周辺は2001年~10年まで海上自衛隊がテロ特措法に基づき米軍などの艦艇に洋上給油をした活動エリアでもある。01年の米中枢同時テロ後に、政府は対米支援としてイージス艦を含む海自派遣部隊を展開、米側の「ショー・ザ・フラッグ」(旗を見せろ)という言葉を体現した場所だ。アフガン、イラク戦争に突き進んだ米国を直接支援した自衛隊「戦時派遣」は日本の安全保障を変容させる大きな一歩だった。(共同通信=柴田友明)
【2001年~10年】
同時テロ(01年9月11日)の後、わずか2カ月で成立したテロ特措法。
11月に艦艇5隻が派遣された。
小泉政権下、政府が強調したのは「インド洋」での活動。インド洋というと、アフリカからインドをまたぐ広範なエリアを想像しがちだ。しかし、実際にはホルムズ海峡に近いアラビア海での作戦行動が中心だった。寄港地などは海自艦艇内での取材を条件に当時の各メディアは表記しなかった。共同は「インド洋北部のアラビア海」と報じた。今回のタンカー攻撃事件の現場周辺である。
当時、周辺海域で海自艦艇に急接近した外国船舶があり、隊員たちが一瞬緊張したシーンがあった。イランの船だったという。
洋上の米軍「ガソリンスタンド」という在り方について論議があったが、日本は一時中断しながらも計8年間、補給活動を続けた。
海上自衛隊の当時の拠点はアラブ首長国連邦(UAE)のフジャイラ。
オマーン湾へ石油積み出しができる物流の要衝だ。
その現場から約1600キロ離れたソマリア沖アデン湾では現在、海自の護衛艦、哨戒機が海賊対策で活動している。
【タンカー攻撃 2019年6月13日】
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