その日の天使

毎月、薄給から年金だの税金だの保険料だのと大金を天引きされて身を切るような思いをしている立場から言えば、年金を受け取っているかどうかも知らないなどとのたまう財務大臣に「年金不足ではない」と言われても何の説得力もない。

だいたい老後を生き抜くのに2000万円もかかるだなんて、もはや年金制度は崩壊しましたと宣言しているのと同じじゃないのか?

もしくは2000万円の貯蓄もできない奴らは皆野垂れ死ねということか?

麻生も安倍も我々の身近な食用品や日用品が近年どれだけ値上がりしているか知っているのだろうか。

ティッシュペーパーやトイレットペーパーが一時と比べて異様に薄くなっているのを知っているのだろうか。

外食も映画も郵便も行きつけの美容室もみんな値上げ。医療費の負担も微妙に増えている気がする。

それでいて給与は一向に増えない。まぁそれはおれが会社で利益を生まないポンコツだからだけど、そこそこ働けば衣食住には事欠かない、老後の生活にも困らない豊かな社会にするのがあんたらの務めじゃないのか?

金持ちと権力のある奴らを優遇して我々社会の底辺をなぶり殺ししようとする現政権にはほとほとうんざりで、元気がある時は(ナニクソ)チクショー!と我が街・荻窪のスターであるコウメ太夫の決め台詞を吐きたくなるが、週に何日かはこのさき生きていて何のためになるのだろう? と悲観することがある。というか悲観してしまうことのほうが圧倒的に多い。

だけどそういう時にふと、シンコー時代に少しのあいだ編集を担当させていただいた中島らもさんのエッセイに出てくる〈その日の天使〉が現れる。たしか元ネタは「その日の神性、その日の天使」というジム・モリスンの詩の一節だったはず。

今日の天使は、先日書いた拙文に対する感謝の連絡だった。

「お世話になっております。

※※です。

最高の原稿をありがとうございました。

遅くなりましたが御礼を申し上げたくてメッセージしてしまいました。

またいずれお会い出来ることを楽しみにしています。」

「土屋が『サイコーじゃーん!』って言ってる顔が目に浮かびます。」

原稿を書いてお礼を言われることなどほぼないし、取材をお願いされたり、プレスリリースを発信してくるレーベル関係者には「ただ載れば良い」という雑な扱いをされるのがほとんどなので、こういう連絡はとても励みになる。

それが他でもない、土屋さんの親族でもある※※さんに褒めてもらえるとは非常に嬉しい。

こんな日は、どんな時でも見ている人はちゃんと見てくれている。

ことを信じてみる。そうやって自分を欺くことを知りながら。

友川カズキさんの著作をなぜか版元が献本してくださった。

いつだったか川崎でインタビュー50分、その後の飲みが4、5時間という濃密な機会を得たことが一度だけあって、それは個人的にも非常に楽しい酒の席だったが、普段から懇意にしていただいているわけでもない。

おそらくご本人ではないだろうけど、一度限りのご縁を今も大切に感じてくださっているスタッフのお心遣いに感服、感謝。有り難く拝読させていただきます。

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