仲間との預金 後輩のために 93歳・才津さん 五島高同窓会に寄付 部活動遠征に活用へ

吉野会長に寄付金を手渡す才津さん(左)=県立五島高

 旧県立五島高等女学校の卒業生、才津春江さん(93)=長崎県五島市東浜町1丁目=が、県立五島高の同窓会「石城会」に10万円を寄付した。才津さんが同級生と共に数十年前からためていたお金。同会が運営する「五島高校サポーター募金」として、在校生の部活動遠征費などに活用される。

 同女学校は五島高の前身の一つで、才津さんは1943年3月に卒業した同女学校の30回生。

 才津さんは高齢のため会話が不自由。長女の智賀子さん(64)によると先月、銀行から「8年間使われていない口座がある」と連絡があり、10万円余りが残されていた。通帳は見つからなかったが、名義は「五高女30回卒」。他の同級生に尋ねると、互いの葬儀の供花代に充てるためお金を出し合い、才津さんが管理していたことが分かった。

 29年間にわたり福江商工会議所婦人会長を務めた才津さんは、慈善活動にも積極的だったため、智賀子さんが母校への寄付を提案すると、しっかりとうなずいた。同級生らも「春ちゃんが決めたなら、それが一番良い」と賛同したという。

 才津さんは19日、五島高を訪れ、石城会の吉野榮一会長に寄付金を手渡した。吉野会長が「生徒のため大切に使います」と感謝を伝えると、才津さんは穏やかに笑顔を浮かべていた。

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