助っ人の同一リーグ移籍は成績アップ!? レアード、オマリー、ブランコらは成功

ロッテのブランドン・レアード【写真:荒川祐史】

ロッテのレアードは早くも20本塁打を放ち新天地で躍動

 ロッテのブランドン・レアードが元気だ。今季日本ハムから移籍し、昨年とは見違えるような成績を残している。外国人打者が移籍して突然、成績がアップするのはよく見られる現象だ。

 2015年に日本ハムに移籍したレアードは、翌16年には本塁打王を獲得。三塁手としても堅実な守備で鳴らした。入団から3年連続で30本塁打90打点をマーク。鮨を握るポーズも人気となり、すっかりチームに定着した。

 しかし、昨年は戦線離脱もあって成績が落ちた。チームは残留交渉を続けていたが交渉が決裂、今季はロッテに移籍した。成績が落ちた中で、日本ハムの年俸提示は、レアードには厳しいものとなったようだ。オープン戦でZOZOマリンスタジアムに初お目見えしたレアードはいきなりファンに「鮨ポーズ」を披露し、大歓声を浴びた。

 そして新天地でのスタートを切った今季は見違えるような成績を残している。

2018年(日)120試合26本塁打65打点 打率.233 OPS.756
2019年(ロ)67試合20本塁打47打点 打率.277 OPS.936

 7月中にも昨年の本塁打数を上回りそうな勢いだ。移籍した外国人選手が「V回復」する例はしばしばある。最近ではDeNAのホセ・ロペスが記憶に新しい。

 イチローのマリナーズ時代の同僚であり、MLBの実績も十分だったロペスは2013年に巨人に入団し3割をマークしたが、2年目に成績が落ちた上に、捕手の阿部慎之助を一塁にコンバートすることになったために自由契約となりDeNAに入団した。

2014年(巨)134試合22本塁打57打点 打率.243 OPS.749
2015年(De)140試合25本塁打73打点 打率.291 OPS.843

 ロペスは2016年に同じベネズエラ出身のラミレス監督が就任したこともあり、不動の一塁手として現在に至っている。

ブランコはDeNA移籍後に本塁打、首位打者の2冠を獲得

 2012年オフに中日からDeNAに移籍したトニ・ブランコも同じような事例だ。2009年に中日に入団していきなり本塁打王、打点王を獲得したが、2011年から故障がちとなり、2012年に契約交渉が難航し、DeNAに移籍した。

2014年(中)96試合24本塁打65打点 打率.248 OPS.851
2015年(De)134試合41本塁打136打点 打率.333 OPS1.049

 DeNAに移籍したブランコは本塁打王、首位打者の2冠を獲得する大活躍だった。

 中年以上の阪神ファンは、トーマス・オマリーを思い出すのではないか。1991年にメッツから阪神に移籍したオマリーは、1993年に首位打者を獲得するなど4年連続で3割をマーク。ヒーローインタビューで片言の大阪弁で応えて人気を博した。しかし「ホームランが少ない」ことで阪神は1994年オフにオマリーを自由契約。翌95年はヤクルトに移籍した。

1994年(神)124試合15本塁打74打点 打率.314 OPS.899
1995年(ヤ)125試合31本塁打87打点 打率.302 OPS.999

 オマリーはヤクルトに移籍して阪神時代は一度も打たなかった30本塁打をマーク。本拠地が神宮となったことも追い風となった。ヤクルトはオマリーの活躍もあり、リーグ優勝した。

 これを見るとNPBで実績を上げた外国人選手をリリースするときには「力が衰えたのか」「モチベーションの問題か」十分な検証が必要だと言うことがわかる。そしてこれらの「V字回復」した選手は、「同一リーグに移籍」という共通点がある。

 対戦する投手がほとんど変わらない「勝手知ったるリーグ」であり、気分を一新すれば再び成績を上げる可能性が高いのだ。また古巣チームと度々対戦することにも闘志をかき立てられるのだろう。

 レアードが移籍したロッテは、今季から「ホームランラグーン」が新設され、ホームランが出やすくなった。それも追い風になっただろうが、気分を一新した効果は大きいだろう。最終的にどんな成績になるか、注目したい。(広尾晃 / Koh Hiroo)

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