同じ県なのに、4割が「知らない」町 低すぎる認知度に、活イカで攻勢

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民宿「香住小宿・梅乃家」が提供するケンサキイカの姿造り=兵庫県香美町香住区下浜

 兵庫県民の4割が「香美町を知らない」-。あまりにも低い認知度に危機感を抱いた兵庫県香美町が、観光客の誘致に向け攻勢を強めている。春は水揚げ量が都道府県別で日本一のホタルイカやハタハタ。6月からはケンサキイカを生け造りで味わえる「活イカ」のフェアを開催。マツバガニや但馬牛の陰に隠れがちだが、多彩で豊かなグルメに光を当てる。(金海隆至)

 もともと同町の観光資源は豊富。沿岸部の香住区にはカニや海水浴、山間部の村岡区と小代区には但馬牛やスキー場、温泉などが、関西圏を中心に人気を得てきた。

 ところが昨年、同町の依頼した観光動態調査で、衝撃の結果を見せつけられることに。旅行情報誌を発行する「リクルートライフスタイル」が17都府県に暮らす5千人を対象に実施した調査で、兵庫県民のうち39.8%の人が「香美町を知らない」と答えた。しかも、2015年の調査より約10ポイントも増えた。また大阪府民は62.2%が知らず、この結果も約15ポイント増となった。関西全体でも57%の人が「知らない」という認知度の低さが露呈した。

 同町の観光客数(道の駅4施設を除く)は年間約146万人だった06年をピークに減少傾向が続き、18年は約132万人にとどまる。冬にカニ以外の目的が少なく、春と秋に観光客数が落ち込むのも課題だった。

 同町観光商工課は「せっかくの“お宝資源”を活用できていない」と分析。若年層や訪日外国人客の取り込みを視野に「体験型」「滞在型」観光の強化へ乗り出した。

 カニの漁期を終えた後の「目玉食材」として、4~5月に漁が最盛期を迎えるホタルイカやハタハタをクローズアップ。香住区の民宿や飲食店が昨年から料理フェアを開催。続く6~8月は「活イカ」フェアを28施設で実施する。ケンサキイカは水温の変化や刺激に弱く、生きたままの料理が難しいため、漁業関係者らが佐賀県唐津市呼子町などへ保存法を学びに出掛け、02年ごろから「活イカ」料理を可能にした。コリコリとした食感と甘みが評判を呼ぶ。

 同課は「城崎温泉の宿泊客がグルメを楽しむスポットとして足を延ばしてもらえたら」ともくろむ。

 また、香美町神戸営業所が昨年初めて開いた写真共有アプリ「インスタグラム」のフォトコンテストも好評。スマホ写真も投稿できる手軽さで、四季折々の風景約900点が寄せられた。最優秀賞は世界最大級の木造三大仏座像「但馬大仏」で知られる長楽寺(村岡区)から望む星空だった。

 今年は「友人に紹介したい香美町の良いところ」をテーマに5部門で、2年以内に撮影した作品を来年1月末まで募集。応募作は観光PRに活用する。同営業所の木原弘一郎さん(44)は「プロもアマチュアもこぞって写真を撮りに来てもらえたら」と話している。

【兵庫県美方郡香美町】 2005年4月に城崎郡香住町と美方郡村岡町、美方町が合併して誕生した。日本海に面し、南西部は鳥取県と接する。人口は今年6月1日時点で1万7573人。但馬牛やマツバガニ、イカなどが特産。海岸などの自然地形が山陰海岸ジオパークの一部に指定され、景勝地となっている。展望施設「余部鉄橋『空の駅』」や海水浴場、スキー場、温泉など観光スポットにも恵まれている。