軽井沢G20関係閣僚会合の会場付近では、14日から関連イベント「G20イノベーション展」が行われている。同会合に連動し、水素エネルギー(水素エネ)、海洋プラスチックごみ(海洋プラごみ)対策、イノベーションが主要なテーマ。企業や団体、自治体などが出展し、ブースの数は90以上にのぼった。一般公開されており、近隣の市民や観光客などが多数訪れた。(サステナブル・ブランド ジャパン編集局=沖本啓一)
最新の技術と事例わかりやすく
水素エネは経産省と環境省が「究極のエコエネルギー」と位置づけ、利活用の促進を図っている。イノベーション展の会場にはトヨタの水素駆動自動車「MIRAI」のカットモデルや、北米同社のヘビーデューティートラックを始め、多くの水素エネ技術に関する展示がされた。福島研究フィールドの前では太陽光発電を利用して真水から水素エネルギーを抽出する過程をわかりやすく説明するなど、訪れた人たちが水素エネルギーへの理解を深める機会となった。水素エネはコストの壁がまだまだ高く立ちはだかる。あるブースの解説員は「時間はかかるが、行政が規制緩和に動き、コストも徐々に下がる。(水素社会の実現は)夢物語ではない」と楽観的な見通しを話した。
海洋プラごみ対策のブースが集まるフロアは、特に一般の見学者、報道陣が集まり、関心の高さがうかがえた。先日報道されたコカ・コーラとセブン&アイのボトルtoボトルに関するブースや、日本製紙の木質資源を利用し、密封可能な紙素材「シールドプラス」など、プラごみを減らす技術や取り組みの最新事例が並んだ。また、環境省は世界中の海洋プラごみの流出状況の把握を当面の課題のひとつとして掲げている。海底探査ロボットの民間商用の第一号「YOUZAN」といった、環境省や経産省の取り組みに直接関連した展示も目立った。
環境課題に活用される宇宙開発技術も
水素社会の実現や海洋プラごみの削減に向けて、環境省が重要テーマに挙げるのがイノベーションだ。技術の革新によってそれらの目標への進捗を加速するとする。
LIMEX(ライメックス)は石灰石由来でアップサイクル、循環可能な素材。TBM(東京・中央)が開発した。リサイクル率90%以上の循環利用が可能だという。来場した子どもに人気だったのは宇宙開発技術の関連ブースだ。地球の温室効果ガスを観測する衛星「いぶき2号」など、環境課題にも宇宙テクノロジーが活用されている。ユーグレナはバイオ燃料の国内普及への取り組みを紹介。同社のバイオディーゼル燃料は、秋元司・環境副大臣兼内閣府副大臣の移動車両で利用されるなど、今会合で活用された。
「G20イノベーション展」は軽井沢ショッピングプラザ駐車場で16日まで開催。一般公開され、入場無料。