母殺害の男に懲役7年半判決 「短絡的に殺害を決意」

横浜地裁

 同居する母親=当時(85)=の世話に疲れ、首を絞めて殺害したとして、殺人の罪に問われた元川崎市社会福祉協議会職員の被告の男(54)=同市高津区=の裁判員裁判で、横浜地裁(田村政喜裁判長)は21日、懲役7年6月(求刑懲役10年)の判決を言い渡した。

 田村裁判長は判決理由で、「被害者が死を望むような発言をする中、一人で問題を抱え込み、追い込まれたと考えられる」と指摘。一方で、「世話の負担が重かったとはうかがえず、専門職に容易に相談できる環境にいた」とし、「短絡的に殺害を決意したことには相応の非難が向けられるべきだ」と述べた。

 弁護側の依頼で被告の当時の心理状態を調べた精神科医が「目の前で苦しんでいる母を助けたいという深い親孝行と自己犠牲の表れ」と分析した点は、「証拠による裏付けの乏しい推論」と退けた。

 判決によると、被告は昨年10月1日、同区の自宅で、母親の首を両手で絞め、殺害した。

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