新たな歩行器 開発中 早期リハビリに活用へ

歩行器の試作品を前に、仕組みや性能を説明する迫田さん(右)=佐世保市瀬戸越2丁目、長崎労災病院

 長崎県佐世保市の健康医療機器メーカー、日本理工医学研究所と長崎労災病院(佐世保市瀬戸越2丁目)は共同で、病気の急性期段階からリハビリに取り組むことができる歩行器の開発を進めている。着脱が簡単で患者や介助者に負担をかけない仕組み。同社が歩行器開発を手掛けるのは初めて。来春の商品化を目指す。
 自力歩行が困難な患者を対象に、上から左右の股関節をつり上げて負担を軽減する仕組み。ベッドに座った状態で簡単に装着でき、体を抱きかかえるなどの大掛かりな介助は不要になる。体重をバランスよく支えるため、痛みや恐怖感を軽減できる。
 身長が高い患者にも対応できるよう高さは1.8メートルと2.3メートルの2種類を検討している。従来の歩行器よりシンプルな構造を心掛け、安価での流通を目指す。
 長崎労災病院は、病気やけがで入院した患者が極力車いすを使わない病棟生活を進めている。長期間安静にすることで、心身に支障を来す「廃用症候群」を防ぐ狙い。この取り組みの一環として日本理工医学研究所に持ち掛け、2016年から研究をしている。
 担当する同病院の理学療法士、迫田健一さん(42)によると、患者30人ほどに歩行訓練で使ってもらった。「つかめる所がほしい」「足がぶつからないようにしてほしい」といった要望を受けて改善を重ね、現在の試作品は4作目だ。患者からは「歩くのが楽になった」といった声も出ているという。
 商品化を前に、県内の学会で研究成果を発表する予定。迫田さんは「この歩行器が普及することで、一人でも寝たきりになる患者を少なくできればいい」と期待を寄せた。

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