気軽に集う カフェの雰囲気 デイサービスMINT

カフェのような部屋で体操をする利用者ら=長崎市、デイサービスMINT

 建物内は白を基調とした明るい空間が広がる。カウンター席にレコード盤の数々、温かみを感じる木製のテーブルやいす。長崎市小ケ倉町2丁目の「デイサービス MINT」は従来の介護事業所と異なり、カフェに近い雰囲気が漂う。高齢者も若者も気軽に集える場所に-。介護事業所と若手家具職人という珍しいコラボレーションによる取り組みが始まっている。
 この春、市内で介護事業所を運営する「きんぎょ家グループ」(同市)が3カ所目として開設。建物の内外装は、オーダーメードの家具生産やリフォーム業の「ミントハウス」(諫早市)が担った。
 同グループの宮原克也代表は開設にあたり、2025年に団塊世代が75歳以上となる実情を踏まえ、「元気な団塊世代が介護サービスが必要になった時、従来型の事業所では抵抗感を持ち、利用しにくいのではないか」と考えた。将来を見据え、「介護施設らしくない空間づくり」を意識。利用者の昼食はメニューを複数用意し、「食事を選ぶ楽しさ」も提供している。
 デイサービスは平日のみ。土日は「地域カフェ」のような形でイベントを開くなど、交流拠点として活用する構想を描く。長崎バスの「小ケ倉」停留所前という立地を生かし、「平日も休憩所として誰でも気軽に立ち寄ってもらい、利用者と交流が生まれればありがたい」としている。
 室内に置かれた家具類の大半はミントハウスの職人が手掛けた。“ショールーム”的な位置付けもあり、今後は事業所の利用者やその家族の生の声を製作に取り入れ、いすや簡易トイレといった介護用のオーダーメード家具の開発にも取り組んでいきたい考えだ。
 職人の島崎淳一さん(29)と山内皐世さん(28)は「誰もがゆっくりできる空間ができた。多くの人に関心を持ってもらえる家具を生み出し、地域の高齢者だけでなく若い人も集う場所になってほしい」と期待を込めた。

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