トンネル工事で減水 水源確保、水田に送水 諫早市多良見町井樋ノ尾地区

代替水源の井戸からの送水が始まり、田植えを行った水田(右)と水量が十分でなく、田植えを見送った水田=諫早市多良見町

 九州新幹線長崎ルートの久山トンネル工事の影響で、長崎県諫早市多良見町井樋ノ尾地区の川の水量が減少した問題で、諫早市の宮本明雄市長は21日、代替水源用に掘削した井戸2本で一定の水量があり、水田に送水されていることを報告した。宮本市長は「地元の意向に沿い、恒久的な対策に向けた問題解決に取り組む」と述べた。
 定例市議会一般質問で木下政儀議員(市民ネット諫早)に答えた。
 同市によると、同地区住民が昨年2月、減水調査を同市に要望。工事発注元の鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)は南に1.4キロの同トンネル工事の影響と認めた。井戸2本を昨年、掘削したが水量が足らず、今年2、5月に別の井戸2本を掘ったところ、毎分300リットルの水量が確認され、井戸から貯水槽と仮設ポンプを経て水田に送水しているという。
 同地区では渇水前、農家6世帯(水田面積約1.5ヘクタール)が稲作をしていたが、昨年は一部が断念。今年は2世帯が見送り、4世帯が作付けする予定。田植えを始めた男性(65)は「米作りに大量の水が必要な夏場を乗り越えるには不安があり、7~8割程度しか田植えができない。以前の通り、十分な水量が確保されることを求めていく」と話した。

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