新幹線長崎ルート 建設負担額 圧縮も 課題解決「佐賀と一緒に」

 新鳥栖-武雄温泉をフル規格で整備する場合の大きな課題として、「建設費」「在来線の在り方」「ルート」-が挙げられる。
 整備新幹線の建設費はJRが支払う貸付料を差し引いた残りの3分の2を国が、3分の1を地方が負担する仕組み。一定額は地方交付税で穴埋めされる。国土交通省は同区間をフル規格で整備する場合の概算建設費を約6200億円と試算。佐賀県の実質的負担額は約660億円とした。佐賀県の負担軽減について、与党検討委員会の山本幸三委員長は「最大限努力する」とし、長崎県新幹線・総合交通対策課も「地元が求めれば(負担額が試算より)圧縮される可能性がある」としている。
 在来線はどうなるのか。区間ごとの1日平均通過人員(2017年度、JR九州調べ)を見ると、鳥栖-佐賀は約3万1500人、佐賀-肥前山口は約2万1400人。いずれも、諫早-長崎の約1万8700人よりも多い。国交省は全線フル規格にした場合の収支改善効果を年86億円とはじき出した。これは、在来線を経営分離しない前提で試算されている。こうした数字などを踏まえ、長崎県は「新幹線開業後も(在来線は)経営分離されない」とみる。
 ルートについて、JR九州の青柳俊彦社長は「事業者として、効率的に新幹線効果を広めていくには結節点である佐賀駅を通るのは当然」との考えを示している。長崎県は「佐賀県と一緒にJR九州に働き掛けたい。新鳥栖-武雄温泉の距離であれば、地域振興の観点から肥前山口付近に新幹線駅を設け、沿線に効果をもたらすやり方も考えられるのでは」と提案する。

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