「老害おじさん」「老害おばさん」撃退法

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人は誰しも年をとる。「老人」と大きな主語でディスると、それはブーメランとなって己に返ってくる。

当コラムでは実年齢に関係なく、後述する“老害仕草”で女子を困らせる人を「老害」と呼びたいと思う。

また自身も老害にならないために、自戒を込めて考えてみたい。

前回「マウンティングする人」はこちら

■“老害おじさん”とは

「こいつは老害だッー!昭和の加齢臭がプンプンするぜッーーーーッ!!」と景気よく燃えたのが“ちょいワルジジ”(※)だ。去年の炎上記事だが、老害のお手本のような例で印象に残った。

※ちょいワルジジ/流行語「ちょいワルオヤジ」を生んだ編集長が語った「ちょいワルジジになるには美術館へ行き、牛肉の部位知れ」というネット記事が大炎上、擁護する意見がほぼなかったのが特徴。

その記事では「まだまだ現役でいたい」という高齢男性に「美術館にいる若い女子にウンチクを語ってナンパしろ」とアドバイスして「焼き肉屋で牛肉の部位について語り、『キミだったらこの辺かな』とお尻をツンツン」とセクハラもセットで提案していた。

「戯言(たわごと)は地獄の鬼にでも言え」という感想しかないが、それを直接本人に言って秘孔を突くのは難しい。

日本は儒教文化の国で、敬老精神が根強い。欧米のように義父のことを「ハイ、ナミヘイ!」とファーストネームで呼んだりもしない。

そんな年長者を立てる国では、おじいさんに向かって「ウゼえな、うせろ」という態度はとりづらい。

私も美術館でおじいさんに声をかけられたら「孤独なお年寄りなのかな」と民生委員の気分で話し相手になるだろう。こちらは福祉の精神で接しているのに「イケるかも」と勘違いされて、おまけにケツまで触られたら、困るというより殺すと思う。

世の中には枯れ専の女子もいるが、文字通り「枯れ感」に萌えるのであり、ギラギラと性欲丸出しのジジイに用はない。

この手の老害に共通するのは「鈍感力」だ。鈍感力ゆえに、相手が不快に思っていることに気づかない。時代の変化にも鈍感だから、あらゆる面でアップデートできてないし、それに本人が一番気づいてない。

周囲の女性陣からも老害被害の声が寄せられた。20代女子は職場の50近いおじさんに敬老精神で親切に接していたら、しつこく食事に誘われて、帰りに待ち伏せまでされたという。

それで困った末に上司に相談したら、「俺をセクハラで陥れるつもりだったのか!」と相手に逆ギレされたんだとか。

この手の老害おじさんは今すぐ現世から退場して、アシダカグモなどの益虫に転生してほしい。来世は害虫をたくさん駆除して挽回しよう。

◇“老害おじさん”の鈍感力はどこからくるか

老害の鈍感力で厄介なのは「自分は立場が上だから、相手はイヤでもノーと言えない」という自覚に欠ける点である。

TVで松本人志がいとうあさこに「俺がキスしたら、それはセクハラになる?」と聞いて、いとうあさこが「超うれしい!」と返す場面があったが、典型的な老害仕草だ。

私も20代のころ、取引先のおじさんにキスされたがイヤだと言えなかった。相手を怒らせて会社に迷惑をかけるとマズい、と思ったからだ。「やっぱり女は営業に向いてない」と判断されるのもイヤで、上司に報告すらできなかった。

後輩女子にはそんな目にあってほしくない。

なので前回書いたように「身内に弁護士がいて、セクハラ案件を主に扱っている」とホラを吹いて、相手をびびらせてほしい。その流れで「セクハラって絶対許せないですよね!」と同意を求めるのもおすすめだ。

また二軒目に誘われたり、無理に飲まされたりしそうになったときは「すみません、実は生理かつ下痢で体調最悪なんですよ」と話して、サッと帰ろう。「あわよくばホテルに」などと目論むジジイを萎えさせる効果もある。

「セクハラは笑顔でかわせ」「おじさんは手のひらで転がせ」といわれるが、そんなものを手に載せなくていい。

「俺がキスしたら、それはセクハラになる?」と聞かれたら「そういう質問自体がセクハラですよ」と教えてあげよう。

■“老害おじさん”撃退法

私も中年スパイダーマンになって若い女子を守りたいが、手首や尻から糸が出てくる気配はない。なので老害おじさんをブロックする方法を考えてみた。

◇「年下が好み」と日ごろからアピール

ひとつは、普段から「年下が好み、おじさんは恋愛対象外」とアピールすること。「アベンジャーズでは断然トムホ推し!どんなにお金持ちでもトニー・スタークは無理ですね、お父さんに見えちゃうんで」と強調しよう。

「お父さんみたいな年の人に性欲を向けられたら、めっちゃキモいじゃないですか~!」と無邪気に言い放つのもアリだ。

◇「感じ悪い人」になる

しかし敵は鈍感力ゆえに「おじさんは対象外でも、俺だけは別」とマジで思っていたりする。

そんなグレッチで叩いても砕けないメンタルの強さで、「今度食事でも奢るよ」と謎に上から誘ってきたら、反射的に笑顔を出すのはやめよう

眉間にしわを寄せて「えっ?」とプーチン顔から「すみません」と目をそらして、その後は無言。このコンボをキメて撃退してほしい。自分を守るために必要なのは「感じ悪い人」になる勇気である。

“老害おじさん”に「愛想のない、感じ悪い女」と思われても痛くもかゆくもないし、むしろ狙われやすいのは愛想のいい女子だ。

◇LINEの返事は「身内の不幸返し」

おじさんから「今度食事でも奢るよ!○○ちゃんとHな話がしたいな~ナンチャッテ(^_^;)」とLINEがきたら、「何言ってるんですか~(笑)」と愛想よく返さなくていい。

立場的に無視できない相手なら、一晩おいてから「申し訳ありません、先ほどLINEを確認しました。現在、仕事が多忙を極めてまして」と事務的に返そう。

それでも折れない心で「忙しいんだね!温泉で癒してあげたいな~ナンチャッテ(^_^;)」と返ってきたら「恐れ入ります、身内の不幸があってバタバタしてまして」と身内の不幸返しをキメよう。

私はこれで「ご愁傷さまです、そんなときにすみません」と相手に謝らせてきたので、身内をどんどん殺すのがおすすめだ。「入院中の祖父が予断を許さない状況」など、死にかけアピールも効果的。

■“老害おばさん”とは

女性陣にヒアリングすると、“老害おじさん”はセクハラ系が多いが、“老害おばさん”はクソバイス系が多いようだ。

私は「求められない限り、アドバイスはしない」とJJ(熟女)べからず帖に刻んでいる。

「痩せたいんですよね~」という世間話のノリで「結婚したいんですよね~」と話す女子に「だったら努力しなきゃ!女子会ばっかりしてちゃダメ!」とドヤるのは、キャバ嬢に説教するジジイと同じだ。

そのうえ「若さという価値は有限なのよ」「結婚したいなら妥協しなきゃ」と呪いをかけたり、「私が若いころはブイブイいわせてたわよ~」と武勇伝を語ったりするのは、老害以外の何物でもない。

そこで相手が「さすが!知らなかった!すごーい!」と返してくれるのは、敬老精神であり、おもてなしの心なのだ。

しかし“老害おばさん”は鈍感力ゆえに「なんで彼氏いないの?いつからいないの?」と土足でズカズカ踏み込んでくる。

それに「ぶぶ漬けでもどうどす?」とやんわり返しても、鈍感族は3杯おかわりしたうえにデザートまで要求してくるもの。

◇“老害おばさん”には「最強のさしすせそ」で対応

その手の相手には「最強のさしすせそ」を活用しよう。

「なんで彼氏いないの?」「あ?」

「いつからいないの?」「らね」

「ずっとひとりは寂しいでしょ」「全然。ごーい私!」

「結婚出産が女の幸せよ」「ンスやばい(笑)」

「結婚したほうがいいわよ」「うか?」

これぐらい強気に出ないと、デリカシーのない鈍感族は気づかない。

◇“老害おばさん”には「明菜返し」も効く

とはいえ、そう強気に出られない場面もある。

新婚のアラサー女子は職場で「体調がすぐれないので飲み会はパスしたい」と言ったら、男の上司に「帰って旦那と子作りするのか?」とニヤニヤされて、女の先輩に「ひょっとして、おめでた?」とキラキラされたという。

前者は明らかなセクハラなので、老害ジェットを噴射して駆除するといい。

一方、後者は「おめでたなら祝福しなきゃ(キラキラ)」という善意の発言なので対応に困る。

そういうときは「いろいろあって……」と小声&伏し目で明菜返しをキメよう。

■一番の“老害おばさん”は「母親」??

「一番の“老害おばさん”は、うちの母親だ」と宣言する女子は多い。

毒親じゃなくても「母といると頭をカチ割りそうになる」と嘆くのは、親世代は「身内には気づかい不要」という意識が強いからだろう。

そのため「あんたはいい年して独身で、親せきの前で肩身が狭いわ」など、絶対他人には言えない剛速球をぶつけてくる。

異性交遊に厳しかった親ほど、娘が適齢期になると「いい人いないの?早く孫の顔が見たい」とダブルスタンダードぶりを炸裂させがちだ。

「『女も仕事して自立するべき』と教育したくせに『あんたは仕事ばっかりして』とイヤミを言われる」「専業主婦の自分を否定されてる気になるのかな」とうんざり呟く娘も多い。

そしていざ結婚出産すると、子育ての先輩として「ああしろこうしろ」と押しつけてくる。「私が子育てしてたときはもっと大変だったわ、と苦労マウンティングされてウザい」という声も耳にする。

母親自身がワンオペ育児で我慢してきた恨みから「娘は楽してズルい」「あんたももっと我慢しろ」と思ってしまう、そんなふうに「娘の幸せを願いつつ、娘の幸せを妬む母」は珍しくない。母親もひとりの不完全な人間だからだ。

◇“老害母”の対処法

とはいえウザいものはウザいし、「育児を手伝ってもらって感謝もあるけど、母ストレスは子育てよりもキツい」とげっそりする娘たち。

世代間のギャップ問題もあるだろう。「なんでそんなこと言うの?」と唖然とする発言をするお年寄りは多い。

うちの義母(夫の母)もサッパリ系で付き合いやすいが、「それツイートしたら火だるまやぞ」という差別発言を平気でする。

「あなたの人権意識はどうなってる?」と問いたいが「まあ、おばあさんだしな」とスルーしている。老人の意識や思考を変えるのは、おそらく無理だからだ。

なんにせよ不快なものは不快なので、イヤホンや耳栓をつけるなどしてミュートしている。前回、マウンティング対策として提案した「ナイツ返し」のように、まったく別の話をふるのもおすすめだ。

毒親じゃなくても「親とまともな話し合いは無理」「こちらが意見を言うと、否定されたと受け取って逆ギレされる」という娘は多い。そんなときはエシディシ返し(※)をお見舞いするのもアリだ。

※エシディシ/『ジョジョの奇妙な冒険』に登場するスタンド使い。激昂すると、全力で泣きわめいてクールダウンするライフハックを持つ。

「あァァァんまりだァァアァ AHYYY AHYYY AHY WHOOOOOOOHHHHHHHH!!」とギャン泣きすれば「育児ノイローゼかな?あまり刺激しないようにしよう」と親も配慮するんじゃないか。

喜怒哀楽の「怒」ではなく「哀」で表現すれば、相手は心配してやさしくなることが多い。

それにエシディシ返しをすると、自身も「フー、スッとしたぜ」とストレス解消できる。

泣きたいときはギャン泣きして、かつ愚痴を吐くことも大切だ。

オンラインサロン「アルテイシアの大人の女子校」では「愚痴のお焚き上げスレ」でみんなが愚痴を吐き出して、スッキリしている。つらい気持ちを話して誰かに聞いてもらえば、心は癒されるもの。

男性はつらいと言えない、助けを求められないから、孤立化して人生詰みやすいといわれる。

うちの父も去年自殺したのだが、「男は強くなければ」というジェンダー意識の強い人だったので、追いつめられたのだと思う。

おじいさんたちもエシディシのように素直に泣けばいい。

「女は感情的」というテンプレのクソリプがあるが、私は自分の感情を大切にしてケアしたい。そうじゃないと、他人の感情も大切にできないからだ。

大人の女子校を運営しながら「女同士はつらさでつながれるから、いいな」と感じる。

女同士で連帯しながら、今後も「女子を困らせる人」と戦っていきたい。そして老害じゃないおばあさんになって、デンデラで愉快に暮らしたいと思う。

(文:アルテイシア、イラスト:若林夏)

>次回の#女子を困らせる人は「クソリプする人」。7月22日(月)公開予定です。

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