新幹線長崎ルート 『経済波及効果を強調』 フル規格促進 佐賀でシンポジウム

フル規格のメリットを語る古川衆院議員(左)ら=佐賀県立生涯学習センター・アバンセ

 九州新幹線長崎ルートを全線フル規格化した場合の佐賀県のメリットや経済波及効果を考えようと、佐賀県フル規格促進議員の会(会長・平原嘉徳佐賀市議)が22日、佐賀市内でシンポジウムを開いた。同ルート与党検討委員会メンバーの古川康衆院議員(比例九州)は「全国の新幹線ネットワークとつながることに意味がある」と述べ、フル規格での整備を訴えた。
 同ルートは新鳥栖-武雄温泉の在来線区間にフリーゲージトレイン(軌間可変電車、FGT)を導入予定だったが、開発の難航などから断念。長崎県とJR九州は時間短縮効果や投資効果が大きいフル規格を求め、佐賀県は反発している。
 基調講演では、元与党検討委メンバーでJR九州出身の今村雅弘衆院議員(比例九州)が「フル規格による佐賀の経済浮揚について」と題して講演。北陸新幹線や鹿児島ルートの開業効果などを解説し、「佐賀県の活性化へプラス思考で取り組もう」と訴えた。
 識者や経済人計4人が登壇したパネル討論で、前佐賀県知事の古川氏は「(FGT断念時は)負担の点で在来線を走るミニ新幹線がいいと思ったが、大雨など災害に強いことはまちづくりの点で大事」と、高架を走るフル規格のメリットを挙げた。リニア新幹線の開業も見据え「関西、北陸の人が佐賀県に来やすくなる」と指摘。建設費の佐賀県負担については「与党検討委全ての議員が重すぎるという議論をしている。それを形にしていかなければならない」と述べた。
 会場には約500人が来場。佐賀県の沿線市長のほか、両県議も参加した。長崎県議会九州新幹線西九州ルート・交通対策特別委員会の八江利春委員長は「前向きな議論だった。県民運動への展開を期待したい。佐賀県議会にも働き掛けたい」と述べた。

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