メクル第376号 佐護ツシマヤマネコ米 田植え 「田ネコ」を守ろう 

どろんこになって田植えする参加者=対馬市上県町

 国天然記念物ツシマヤマネコが生息している対馬(つしま)市上県(かみあがた)町佐護(さご)地区で1日、ヤマネコの生息環境(かんきょう)を守るため減農薬(げんのうやく)で育てる「佐護ツシマヤマネコ米」の田植えがあり、親子連れら約20人が手植えに挑戦(ちょうせん)しました。
 ツシマヤマネコは対馬にだけ生息する野生のネコで、対馬全島に100匹(ぴき)ほどしかいないと言われています。春に森の中などで子を産み、稲(いね)が伸(の)びる夏にえさが豊富(ほうふ)な田んぼで親が狩(か)りを教えたりするため、佐護地区では「田(た)ネコ」とも呼(よ)ばれています。
 田植えは、地元の農家でつくる「佐護ヤマネコ稲作(いなさく)研究会」(春日亀隆義(かすがめたかよし)会長)が毎年開催(かいさい)。同地区の通常(つうじょう)の稲作では23種類の農薬を使っていますが、ツシマヤマネコ米は半分以下の11種類に減(へ)らしてヤマネコのえさとなるカエルなどを増(ふ)やす工夫をしています。
 田植えは、田んぼに張(は)った縄(なわ)の目印にそって手植えする昔ながらのやり方で行い、子どもたちは歓声(かんせい)を上げながら、どろんこになって苗(なえ)を植えていきました。
 同市立鶏鳴(けいめい)小2年の栗谷心乙(くりやみおと)さん(8)は「どろんこが気持ちよかった。えさがたくさん集まって、ヤマネコもかくれんぼできるような田んぼになってほしい」と話しました。
 10月ごろ収穫(しゅうかく)し、売上金の一部はヤマネコの保護(ほご)活動に使われます。

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