豪雨被災兄弟犬の実話が絵本に 朗読グループが29日真備で販売会

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西日本豪雨で被災した兄弟犬の実話を基にした絵本「ブラザーズドッグ」

 西日本豪雨で被災した兄弟犬の心温まる実話を基にした絵本「ブラザーズドッグ」(瑞雲舎)が、7月7日に出版される。元山陽放送の女性アナウンサーによる朗読グループ「おはなしのWA♪」が、インターネットで資金を募るクラウドファンディング(CF)で協力を呼び掛け、完成させた。

 主人公は、倉敷市真備町地区に暮らしていたチワワのチョコ(兄)とミルク(弟)。突然命を落としたチョコが、ミルクに「伝えたいことがある」と、1日だけ天国から戻ってくる。2匹は西日本豪雨で被災した他の動物たちを訪ね、当時の状況を聞く中で「大切なこと」に気付いていく。実話をベースに、ファンタジックなストーリーに仕立てた。

 モデルは同名の兄弟犬。豪雨の日、ミルクに迫る水の危険を必死にほえて飼い主に知らせたチョコ。2匹は無事に助かったが、避難生活の疲れからか、わずか10日後にチョコは死んでしまった。この出来事を聞いた江草聡美代表ら6人は、豪雨の記憶を風化させないために絵本化しようと、昨年10月からCFを開始。約2カ月で当初の目標額(355万円)を上回る437万千円が集まった。

 絵は、自身も真備町地区で被災したイラストレーター氏峯麻里さんが担当。ストーリーはメンバーで相談しながら考えた。災害時の状況をどこまで表現するか、何度も話し合ったという。水に沈んだ街を描いたシーンもその一つで、メンバーの西田多江さんは「被災した皆さんにとってはつらい記憶。でも、次の世代に伝えるために描くことにした」と振り返る。

 岡山県内の小学校399校に寄贈を予定しており、西田さんは「命の重さ、前向きに生きることの大切さを伝えたい。子どもたちに読み聞かせをしてほしい」と話す。

 A4変形判、30ページ、2千冊を作製した。1620円。29日午前11時~午後3時は、倉敷市真備町箭田の介護老人保健施設・ライフタウンまびで絵本の販売会(限定50冊)を行う。