快進撃続く

 年度が替わり、元号が令和に改まっても勢いが止まらない。4月に本欄で「平成最後の最多勝」に輝いたことを紹介した将棋の佐々木大地五段(24)=対馬市出身=▲今月3日には8大タイトルの一つ、王座戦の挑戦者決定トーナメントで、藤井聡太七段との対局に臨んだ。言わずと知れた最年少の天才棋士。将棋ブームの立役者でもある▲双方が5時間の持ち時間を使い切る大熱戦。最後まで優劣不明の難解な終盤戦の末、「負けました」とがっくり頭を下げたのは藤井七段だった。これで藤井戦の公式戦通算成績は2勝1敗▲佐々木五段の本年度の対局数16、勝ち星11はここまで堂々の1位、6月は藤井戦から5局を指して負け知らず。将棋は全ての情報が盤の上に公開されている。まぐれや偶然では勝てないゲームだ。容易に土俵を割らない“雑草流”はトップ集団の仲間入りを果たしつつある▲難敵中の難敵を下して、きょう準々決勝の相手は羽生善治九段。「いつか教わりたい」と対戦を夢に見ていた相手との初手合いだ▲抱負を尋ねてみた。〈とても楽しみです。今の自分を思う存分ぶつけていきたい〉-短いメールの文字が弾んでいるように見えた。もちろん、通算100期目のタイトル獲得を目指す羽生さんにとっても重要な一局。好局を期待したい。

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