個性豊か 黄檗僧の書 長崎歴史文化博物館で特集展

隠元禅師の墨蹟など、個性豊かな黄檗僧の書画が並ぶ特集展=長崎市、長崎歴史文化博物館

 長崎県長崎市立山1丁目の長崎歴史文化博物館で特集展「渡来黄檗(おうばく)僧の書画」が開かれている。日本で中国の臨済宗黄檗派の教えを伝えた隠元禅師をはじめ、江戸前期に明末の中国から長崎へ渡った黄檗僧の個性豊かな書などを紹介している。

 黄檗僧たちの長崎への渡来は、禅の教えの他にも近世の日本にさまざまな影響をもたらした。今回特集している書では、黄檗僧の力強い書風が人気となり、後の唐様の書の源流となった。特に隠元とその後渡来した木庵(もくあん)、即非(そくひ)の3人は「黄檗の三筆」と呼ばれ、多くの墨蹟(ぼくせき)が残っている。

 同館収蔵品の掛け軸やびょうぶ、巻物、計14点を展示。隠元の一行書「胸流太古春」は全体的に丸みがあり、穏やかな印象。木庵の一行書「縦横不是塵」はスピード感や勢いがある。このほかの書も、端正な楷書や荒々しい書体など、黄檗僧それぞれの人柄が表れている。

 同館の担当者は「書というととっつきにくい印象があるが、それぞれの特徴を比べて見て、この人の字が好きだなというところから見て楽しんでほしい」と話している。展示は7月15日まで。常設展の観覧料が必要。

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