ミニボート 転覆の危険性高く 長崎県内 5月に事故3件、死者も 長崎海保がルール順守訴え

©株式会社長崎新聞社

海上安全指導員を対象に実施したミニボート安全講習の洋上体験=長崎港福田沖(長崎海保提供)

 免許が不要のため近年、普及しているミニボートの長崎県内の海難事故が、5月に3件発生した。海のレジャーシーズンを前に長崎海上保安部は「船のサイズからして高波を受けると転覆する可能性が高い。航行ルールを適切に守ってほしい」と注意を呼び掛けている。

 5月6日午後5時ごろ。長崎市蚊焼沖で、無人で漂流していたミニボートを漁船が発見した。船内には釣り道具が残されていた。約1時間半後、乗船していた60代男性が付近の海で見つかり、死亡が確認された。同海保は、釣り中に転落したとみて調べている。

 ミニボートとは船体の長さ3メートル未満、エンジン出力1.5キロワット未満。定員は2、3人。小型船舶操縦士の免許や小型船舶検査・登録がいらない。手軽に楽しめる半面、知識や技術がないまま航行する人も多く、全国的に海難リスクが高まっている。

 同海保によると、昨年、全国で起きたミニボート事故は85件(前年比13件増)。県内は3件(同1件増)。今年は6月22日現在、4件。5月だけで転覆や衝突など3件起きた。

 ミニボートは手軽に乗れるため人気があり、日本マリン事業協会(東京)の推計によると、昨年末時点で約5万7500隻が全国で使用されている。普及の一方、問題点が指摘されている。航行範囲は操縦免許や船舶登録が不要のため法的制限はない。国土交通省や同海保が公表しているマニュアルには「おおむね岸から1キロ以内、出航地点から2キロ以内」とあるが、あくまで推奨ルール。罰則規定がないためか沖合を航行するミニボートも少なくない。他の船から気付かれにくく衝突につながったケースもあり、海保の巡視艇がそのつど注意するなど対応に追われている。

 これらの事情を踏まえ同海保は22日、ボランティアで安全航行の周知活動をする海上安全指導員を対象に、長崎港福田沖などでミニボートの安全講習を初めて実施した。計40人が参加し、指導員は座学や洋上体験を通して、波に弱く他の船から見えにくいミニボートの欠点を学んだ。

 海のレジャーはこれから本番。同海保の長尾治芳交通課長は「免許がなくても、海上に出ればライフジャケットを着用するなど他の船と同様に海上ルールが適用される。操縦者は船長として、乗員の安全を守りながら楽しんでほしい。携帯電話は防水パックに入れてGPS機能をオンにし、通報は118番に」と呼び掛けている。