自転車、人傷つける事故も 並走、スマホ、無灯火厳禁

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スマートフォンを使いながら走っていた自転車と歩行者の衝突事故を実演し、高校生に注意を呼び掛ける熊本南署員=20日、熊本市西区の熊本西高

 熊本市東区湖東の国道57号で16日夜、散歩中の男性(79)が、歩道を対向してきた男子高校生(16)の自転車にはねられ死亡する事故が起きた。県内では自転車による対歩行者の人身事故が年平均16件起きており、県警は「自転車でも重大事故を引き起こすことがある」と警鐘を鳴らす。

 県警交通企画課によると、昨年までの5年間に県内で起きた自転車側が主な原因の交通事故は、自損事故を含め291件。このうち自転車対歩行者の事故は79件で、24人の歩行者が1カ月以上の重傷を負った。死亡事故は2011年9月にも起きている。

 原因別では、▽安全不確認(23・4%)▽前方不注意(14・8%)▽運転操作ミス(13・4%)などの順。年代別では高校生が19・6%と最も多く、▽20代(14・8%)▽50代(11・0%)▽中学生(10・7%)と続いた。

 今回の事故現場となった歩道は自転車の通行が可能だったが、自転車はスポーツタイプで、ライトが付いていなかった。

 県内の複数の自転車専門店によると、近年、スポーツタイプの自転車は若者を中心に人気があるが、車体にライト設備が付いていないのが一般的。このため購入時に店側が追加設置を勧めることが多いが、徹底されていないのが実情という。熊本市中央区の「しゃりんかん」は「警察に無灯火を注意され、ライトを買いに来るお客さんもいる。うちでは販売時に必ずライトを設置するよう指導している」と話す。

 県警交通企画課は「自転車が人を傷つける場合もある、と肝に銘じてほしい」と強調。運転時は(1)車道の左側を通行(2)通行可能な歩道では歩行者優先で、車道寄りをゆっくり通行(3)並走やスマートフォン、イヤホン使用は禁止(4)ヘルメットを着用し夜間はライト点灯-などを徹底するよう指導する。

 それでも完全に事故を防ぐことは難しく、重大事故では自転車側に多額の賠償責任が生じる場合もある。県の自転車安全利用条例は保険加入を努力義務と明記している。

 日本損害保険協会は「保険の対象範囲や補償額で異なるが、自転車の保険料は比較的抑えられる。通勤・通学者はぜひ加入してほしい」と呼び掛けている。(社会部・前田晃志)