“太公望”困惑、アユ遡上が減少 豪雨頻発や環境悪化原因?

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由良川でアユを狙う釣り人。シーズン中にもかかわらず釣り人の姿は少ない(11日、京都府綾部市味方町)

 京都府北部の河川で昨年から、海産アユの天然遡上(そじょう)に異変が起きている。近年、日本海側の全国の川で深刻化している遡上アユの減少が、由良川にも及んでいる。豪雨による河川環境の悪化や海での生存競争の激化が影響しているとの見方もあるが、明確な原因は分かっていない。アユ釣りの釣果も低迷しており、漁業関係者が頭を抱えている。

 綾部市以北の由良川を漁区に持つ由良川漁業協同組合では、支流にある堰(せき)など中流域の6カ所で、目視による遡上の観測を行っている。例年は春から初夏にかけて、海産の稚アユが上流を目指して堰を上る様子が頻繁に見られるが、今年は5月以降で2カ所でしか確認されず、群れの規模も小さかったという。

 昨年は一度も遡上が確認できなかった。稚魚の放流は毎年行っているが、釣果は低迷。平年、竿漁で約1万匹、網漁では千キロ以上が取れるが、昨年は竿漁で769匹、網漁で320キロにとどまった。同漁協参事の井上正吏さん(53)は「ここ数年は秋に大雨があるなど、下流でふ化したアユが海に戻りやすい好環境だったのに」と首をかしげる。

 海産アユの好釣り場で知られる京丹後市の宇川でも、昨年から遡上がほとんど見られなくなった。上宇川漁協によると、今年、組合員が確認した遡上は、河口近くの1カ所のみ。竿漁での漁獲量は、5年ほど前に比べ10分の1程度にまで落ち込んでいるという。

 近県の日本海側の河川も状況は同じで、福井県・九頭竜川では今年5月に網を使って行われた遡上数調査で数匹しか取れず、「ここ3年は極めて遡上が少ない」(県内水面総合センター)。兵庫県では矢田川や竹野川で昨年から減少。県内水面漁協連合会が卵を持った親魚の放流など対策に乗り出したが、今年も低調という。

 全国内水面漁連の内田和男専務(63)は「昨年は太平洋側の各地で遡上が多かった一方、日本海側全域で非常に悪かった。今年は北日本で回復傾向にあるものの、石川県より西側では依然少ないまま」と話す。(増山遼)