『選ばれし者たち』だけが集まってくるアイドル・グループ Juice=Juiceに新メンバー加入で分かった明確なコンセプト

ハロー!プロジェクトのアイドルグループJuice=Juiceに新メンバーが加入しました。ハロプロ研修生北海道から中学3年生の工藤由愛(くどうゆめ)と、ハロプロ研修生から中学2年生の松永里愛(まつながりあい)の2人。実力派グループであるJuice=Juiceに相応しいスキルフルで個性的な新メンバーです。

卒業した宮崎由加さんに入れ替わる形で加入した2人ですが、この人事について一言で表すなら「補強」。しかも、弱点を補うということではなく、ストロングポイントさらに強化するという形の補強です。新人を入れても、パフォーマンスレベルを落とすことなく、むしろそのレベルは高めるとともに、さらなる伸びしろを与えるという補強だと言えるでしょう。

ハロプロ研修生北海道出身の工藤由愛さんは、今年5月に行われたハロプロ研修生による「春の公開実力診断テスト」でダンス賞を受賞。さらにファン投票では第2位になった実力者です。

タコが異常に好きで、私服やレッスン着のどこかしらにタコの要素を入れてくるというちょっと変わったキャラクターで、いわば典型的不思議ちゃんな雰囲気。でも、いざステージに上ったら、歌とダンスはかなりパワフルという、ギャップの持ち主です。

そして何より、真面目でどんな仕事にも真剣に取り組むタイプとのこと。レベルの高いJuice=Juiceの中に入っても、パフォーマンスの点ではそこまで心配もないだろうし、キャラクターは間違いなく抜きん出ている。活躍しないわけがないのです。

一方、ハロプロ研修生出身の松永里愛さんは、「春の公開実力診断テスト」でファン投票1位となり、ベストパフォーマンス賞を獲得。ここ数年、ハロプロ研修生の実力診断テストでベストパフォーマンス賞を獲得した研修生が正規メンバーに昇格する流れができているので、順当なJuice=Juice入りということになります。

松永さんの最大の特徴は歌。実力診断テストでは太陽とシスコムーン『ガタメキラ』を歌い、見事なフェイクを披露。中学2年生の研修生とは思えない伸びやかでパワフルな歌声に、当日中野サンプラザに集まったハロプロファンたちは思わず息を呑むばかりでした。

Juice=Juiceには、高木紗友希さんと段原瑠々さんという日本のアイドル界の中でも屈指の歌姫が2人もいます。そこに、松永里愛さんという新たな歌姫を投じるのですから、Juice=Juiceの「本気でトップを獲ってやろう!」という気合いが感じられます。

そんな松永さんですが、単純に歌がすごいだけでなく、アイドル性もかなりのもの。大阪出身でちょっとヤンキーっぽい空気感もありつつ、それでもワッフルが好きで「ワッフル!ワッフル!」という謎の掛け声をやってしまうあたりは、時代に左右されない普遍的なアイドルの魅力に溢れています。それこそ、つんくさんが好みそうなタイプ。ハロプロらしさを備えた新メンバーとも言えるでしょう。

公開実力診断テストの1位と2位をそのままJuice=Juiceに入れるというのですから、Juice=Juiceに実力者がどんどん集まっているということです。アイドルグループの魅力はパフォーマンスだけではないとは言われますが、Juice=Juiceはパフォーマンスを高めることでグループとしてのキャラクターを確立していこうという方向性に進んでいるように見えます。これができるのは本当に“選ばれし者たち”だけだし、相当な努力も必要。どんどんハードルも高くなっていく。これからのJuice=Juiceは本当に大変でしょうが、それだけ期待も高まるということです。

現在、ハロー!プロジェクトには、モーニング娘。’19、アンジュルム、Juice=Juiceとメンバーが入れ替わっていくグループが3つあります。グループの歴史的にも知名度においてもこの中で3番手であるJuice=Juiceが存在感を発揮するには、より明確なコンセプトを打ち出さなくてはならない。だからこそ、“実力派”という部分を強化したのではないでしょうか。

新人だろうがオリジナルメンバーだろうが、全員が歌えて踊れるグループ――そんなJuice=Juiceをすぐにでも見せてくれるに違いありません。(文◎大塚ナギサ)

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