「不同意」のみで性犯罪成立 3団体、法改正求め署名提出

刑法改正を求めて小山刑事局長(右)に署名を提出する3団体の代表=東京都千代田区

 性犯罪事件の無罪判決が相次ぐ状況を受け、性暴力被害の当事者団体「Spring(スプリング)」など3団体は24日、「不同意」のみで性犯罪が成立するよう刑法改正を法務相に求める約4万6千人分の署名を、小山太士法務省刑事局長に提出した。小山局長は「われわれも実態調査のワーキンググループをつくって検討している」と明かした。

 署名は、19歳の女性が実父から性交を強いられた事件など性暴力の無罪判決が続いたことを受けて、同団体とNPO法人「ヒューマンライツ・ナウ」、「Voice Up Japan(ボイスアップジャパン)」がインターネット上で募集。監護者性交等罪の適用範囲拡大や、地位や関係性を利用した性行為に対する処罰類型の設定、性交同意年齢の13歳からの引き上げを求めている。

 代表してボイスアップジャパンの山本和奈代表が「性暴力、性犯罪は体の傷でありながらも心の傷。周りでも多くの方が苦しみながら戦い続けているが、法が守ってくれるか分からないため声を上げられない人が多い」と説明、署名を手渡した。

 提出後の会見で、スプリングの山本潤代表理事は「これだけの署名が集まったのは、誰が見ても現状がおかしいと感じているからと思う。この声を法務省の刑事局長に届けることができたのは大きな意義」と話した。またヒューマンライツ・ナウの伊藤和子事務局長は「意に反する性行為イコール暴行・脅迫、抗拒不能(身体的または心理的に抵抗することが著しく困難な状態)と思われてきたが、実際は意に反していてもハードルが高い。暴行・脅迫要件をなくすことを真剣に検討していただきたい」と訴えた。

 強制性交等罪の成立には不同意の性行為だけでなく、暴行・脅迫、心神喪失、抗拒不能などの厳しい要件が求められ、泣き寝入りを余儀なくされている被害者も多い。刑法は性犯罪規定が2017年度に改正され、3年をめどに見直しを検討するとの付帯決議が付いている。

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