【愛川・受刑予定者逃走】逃走罪適用できず

横浜地検を出る男=23日午後5時15分ごろ、横浜市中区

 横浜地検の収容を振り切り、5日間にわたって逃走を続けた無職の男(43)の逮捕容疑は、刃物を振り回して地検職員の業務を妨げたとする公務執行妨害だ。地検によると、逃走罪は勾留が決定して以降の刑事施設からの脱出を要件とするため、保釈されていた同容疑者は適用対象にならないという。

 窃盗や覚せい剤取締法違反(使用)などの罪に問われた同容疑者は、控訴審中に保釈された。2月に懲役3年8月の実刑判決が確定した後、再三の出頭要請に応じず、4カ月以上も社会で普通に生活を送っていたが、勾留中の容疑者や被告、服役中の受刑者を対象とする逃走罪は、同容疑者に適用できない。

 類似ケースに挙げられるのが、弁護士と接見中の男が地検川崎支部の庁舎から抜け出し、2日後に横浜市内で逮捕された2014年1月の逃走事件だ。この時は勾留手続きを終える前だったため、男は逃走罪に問われなかった。

 一方で、男が逃走の過程で友人に手助けを依頼していたことから、犯人隠避教唆罪では起訴された。無職の男も知人の支援を受けながら逃走を続けていた疑いがあり、今後の捜査次第では同罪が適用される可能性もある。

 また自宅からは注射器が押収されており、地検や県警は覚醒剤を使用した疑いも視野に捜査を進めている。

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