64800円、でもコスパ抜群!?リケーブルDITA「OSLO cable」は便利な“だけ”じゃない

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■好みや環境次第ではない、普遍的な便利さを備えるリケーブルが登場!

イヤホンユーザーは「リケーブル」に何を求めているのか。ざっくり分けると主には以下の3点ではないだろうか。

1)音:音の調整

2)装着感等:耳周りの感触や全体の取り回しなど使いやすさ

3)機能性:バランス駆動対応など

まず「音」について。リケーブルに求められる音調は「どんな音のイヤホンと組み合わせて、そのイヤホンの音のどのポイントをどう調整したいのか」次第であり、つまりはイヤホンとの組み合わせや、ユーザーの好み次第だ。なので「いつ誰にでもフィットする音のリケーブル」なんてものは存在しない。

「装着感等」についても、例えばイヤモニタイプのイヤホン&ケーブルで耳の上に回すイヤーフック部分は、「針金入り」でユーザーが自分で曲げ具合を調整するタイプと、あらかじめ樹脂成形等で曲がりが用意されている「プリフォームド」タイプなどがあり、どちらがしっくりくるかといった事も、ユーザー好みによるところも少なからず。なのでやはり「いつ誰にでもフィットする装着感のリケーブル」なんてものは存在しない。

しかし、「機能性」に注目すると、『だいたい誰もが歓迎するであろう機能性を備えたリケーブル』というのが存在する。というか登場した!

それがこちらDITA「OSLO cable」!現在の実売価格6万4800円くらい!(関連ニュース

DITA「OSLO cable」。素材の色を生かしたクリア系ケーブルでルックスも良い雰囲気

現時点では同社イヤホン「TWINS」シリーズ用と汎用的なMMCX端子バージョンが販売中だが、2pinバージョンとFitEarバージョンも発売予定とのことだ。

■3.5も4.4も2.5も!全端子対応AWESOMEコネクター!

さて、このOSLO Cableが備える「だいたい誰もが歓迎するであろう機能性」とは何か? それは…DITA必殺、AWESOMEコネクターだ!

スクリューと凹凸でしっかりロック
バランス駆動対応なのでもちろん4pin接続

見ての通り、DAPに接続する側のプラグがスクリューロック式の交換パーツになっていて、

●3.5mmシングルエンド駆動用

●4.4mmバランス駆動用

●2.5mmバランス駆動用

が標準付属。OSLOがあれば何にでも挿さる! いくぞォーッ! 1! 2! 3! ダァーッ!!

これはだいたい誰にとっても便利だろう。例えば今の時点で、「音楽を聴き込む時はDAPでバランス駆動。でもたまに外出中にラジオやサブスク配信をチェックしたくなる時もあるから、そんな時にスマホの普通のイヤホン端子にも接続できたら便利だよな……」なんてユーザーにはすぐさま便利!

また、今の時点では「自分はスマホ用には完全ワイヤレスを用意してるんで、メインのイヤホンの方は2.5mmのバランス駆動だけで十分」というユーザーでも、次は4.4mmバランス駆動のDAPに乗り換えることになるかもしれない。その時でもこのケーブルならそのまま使い続けられるという安心感が便利!

ハイエンドリケーブルは何万円もするアイテムだ。自分の好みや環境が変化しても使い続けられるという「普遍的な便利さ」を備えていて、長く使い続けられる製品はありがたい。このOSLO cableは、長期的なコストパフォーマンスという観点からも強い魅力を持っていると言えるだろう。

■端子だけじゃない! リケーブルとして普通に魅力的!

そうは言っても、便利なのは嬉しいが、便利な “だけ” のハイエンドリケーブルに6万4800円とかは出せないだろう。

だが、そこは安心してほしい。このOSLO cable、コネクター部の便利さ一点勝負のリケーブルなどではない! というか、そこ抜きにして考えても、ハイエンドリケーブルとして普通に選択肢に入れたくなるレベルに魅力的なケーブルだ。

それではまず製品仕様から確認していこう。音については後述する。

導体の線材には「オイルコーティングされたPC-Triple C長結晶無酸素銅」を採用。そのオイルとは、深海鮫から抽出のスクワランオイルとのことだ。オーディオパーツにおいても、トランスやオイルペーパーコンデンサーといった高い絶縁性を求められるものに採用されてきたというそのオイルに、シルバーとゴールドのナノ粒子をブレンド。それを導体線材表面に塗布して、表面の微細な凹凸を滑らかにすることによって、信号伝達がよりスムースで正確なものになるという。

導体の線材はオイルコーティングを施す。ケーブル分岐部のパーツも使い勝手を高めてくれている

ちなみにだが、このスクワランオイル、化粧品に使われるレベルで肌にも優しく安全性に優れ、電気的な特性だけではなく物理的な特性にも優れているので、適材適所で使えば潤滑剤としても有用だ。筆者はギターのナットとサドルでの弦の滑りの補助に使っているが、オーディオ周りだと例えば、機械的な稼働部の多いアナログプレーヤーのメンテナンスに利用しているマニアの方もなどもいらっしゃるとか。

その導体を包むケーブルの外被膜の素材はポリエチレン。太すぎず柔軟性も高く、取り回しは十分に良い。八の字巻きでケース等に収納した状態から取り出した際のケーブルのほぐれも良好。細くて柔らかすぎるケーブルは絡まりやすくほぐれにくい場合もあるが、このケーブルはその点でも使いやすい。

耳周りはいわゆる針金入りではなく、あらかじめ自然に曲げられているプリフォームドタイプ。その部分の素材の肌触りにも違和感はなく、装着感良好!

耳周りは小さめのアールに曲げられているが柔軟に広がって耳にフィットする

またケーブルの左右分岐部には、ブランド名入りのアルミらしきパーツが配されており、これには適度な重みがある。

装着感の話で “重み” というとマイナス要因に思うかもしれないが、このケーブルのこの部分については重みはむしろプラス要因。この重さによって下方向にかかる適度なテンションのおかげで、耳周りのフィットもケーブルの垂れ具合も安定する印象だ。

イヤホン側の端子については、復習になるが現在は以下の通り。

●DITA-OSLO Cable TWINS 発売中!

●DITA-OSLO Cable MMCX 発売中!

●DITA-OSLO Cable 2pin 発売予定

●DITA-OSLO Cable FitEar 発売予定

同社イヤホン「TWINS」シリーズ向けのものと汎用的なMMCXが発売中。2pinとFitEarが今後発売予定だ。今回はMMCXの製品版と2pinの試作サンプルをお借りできた。なお、2pinはこの試作サンプルから発売まで今後も調整を加えていくとのことなので、製品発売時にはここから下に記載されている内容から変更があるかもしれないので留意!

そのMMCXと2pinのポイントとしては、先端側に段差が用意されているところに注目。

2pin端子は凹スリットも入れられている
こんな感じに端子部が接続部にちょっとスペースが空く場合もあるが、それにも意味が…

これは受け側がいわゆる「埋め込み型」になっているイヤホンとの組み合わせにも配慮してのことだろう。その代わりに、埋め込まない型のイヤホンとの組み合わせでは根元が少し露出してしまい、端子全体の長さもやや長めになってしまうが……。

だが、このケーブルの「組み合わせを選ばない汎用性重視!」というコンセプトに照らし合わせれば、イヤホン側端子でのこの対応にも納得できる。万能のDAP側端子+汎用性にも配慮したイヤホン側端子のおかげで、様々な組み合わせで問題なく活用できるはずだ。

■ストレートなイヤホンに湿度感のある響きを与えてくれる

音の変化の傾向だが、様々なタイプのイヤホンとの組み合わせ、標準付属品を含む様々なタイプのケーブルとの比較を試してみての印象としては、平均的な音作りのイヤホンケーブルに対して、「ウェットな湿度感」「豊富な粒子感」という二点が、このケーブルがサウンドにもたらす要素として大きなポイントになると思う。

これは特に良い! と思わされたのはShure「SE846」との組み合わせだった。こちらのイヤホンは、同社イヤホンの中ではオーディオライクなサウンドだが、それでも基本的にはプロオーディオメーカーがプロのモニター用途をターゲットに設計した製品。飾り気の多すぎないすっきりとしたサウンドを備えている。

同じくクリアシェルなイヤホンとはルックスの相性もやはり良い

そこにこのOSLO cableを組み合わせると、音色の輪郭やその背景のすっきりとしていた余白に、よくほぐれた粒子感が生まれてくる。そしてその粒子は心地良いしっとり感を備えており、音色にも全体にも滑らかな潤いを与えてくれるのだ。

…とだけ書くと「それって代わりに音の鋭さや抜けは鈍ってしまうのでは?」という不安もあるだろう。しかしそんなこともなく、このイヤホンらしいすっとクリアな抜けや広がりもキープされているから嬉しい。

相性の合う合わないが分かりやすかった例としては、finalの同シリーズ「E4000」「E5000」との組み合わせ。イヤホン自体のサウンドがすっきり系なE4000とOLSOの組み合わせの相性は良好だ。846と同じく、イヤホンの個性を生かしつつケーブルの個性も上乗せされ、「クリアでいて豊か」と言いたくなるようなコンビネーションを聴かせてくれる。

一方そもそもイヤホン自体がしっとり系なE5000とOLSOの組み合わせは、リケーブルの効果が小幅になって分かりにくい。イヤホン自体の湿度感や粒子感がそもそも豊かなので、ケーブルでの上乗せ分がわかりにくいのだ。それにそこは元から十分なのだから上乗せは必要ない、と感じる方も少なからずだろう。

■この音にハマる方には絶大なコスパをもたらす!

仕様や音質傾向を確認するに、OSLO cableは機能性の面では汎用的で万能性に優れつつ、音の傾向としてはユーザーの好みやイヤホンとの相性も出やすそうなタイプかもしれない。

しかし、そこはリケーブルとして欠点というわけではない。例えば「どのイヤホンと組み合わせてもそのイヤホンの音を変えることなく、レベルを全体的に引き上げてくれるリケーブル」は、もちろん使いやすい。

だが、このOSLO cableのように分かりやすい個性を備えたケーブルも、全体的にではなく狙いを絞って「このイヤホンの音のこの部分を、もう少しこう調整できたら最高…!」といったように、ピンポイントで音質調整したい時には大活躍してくれる。ハマったときの効果は絶大だ。

そしてこの音にハマったのならば長らく使い続けたくなるわけだが、このケーブルは実際、プラグ交換システムのおかげで、DAPを買い替えたりしてもケーブルはずっと使い続けられるわけだ。そして使い続ければ使い続けるほどコスパ的にはどんどんお得になっていく。

例えば5年間使い続けたとしたら、、、

6万5000円÷60ヶ月=月額約1,083円!

サブスク音楽配信と同じ程度の出費にすぎない。それでそのケーブルを使って何回でも音楽を聴き続けられるのだから実質無料と言って差し支えないだろう。差し支えないだろう。

ただ、僕自身もこのケーブルは機能性も音もとても気に入ったのだが、悩ましいのはイヤホン側の端子。このケーブルは長期的コスパに優れている。しかし僕には「MMCXも2pinもFitEarもぜんぶ買うー!」なんて短期的資金はないのだ……。

まあ僕の悩みはさておき。長く使用できるリケーブルをお探しの方にはぜひチェックしてみていただきたい一本だ。

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