サイボウズの社員離職率が5%未満なのはなぜか

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黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に、サイボウズ株式会社・代表取締役社長の青野慶久が出演。28%あった社員の離職率を5%未満まで下げるために行ったことについて語った。

サイボウズの青野慶久社長=2009年8月26日午前、東京都文京区のサイボウズ社 写真提供:産経新聞社

黒木)今週のゲストはサイボウズ株式会社・代表取締役社長の青野慶久さんです。
いま働き方改革と言って、いろいろな働き方が改革されていますけれども、青野さんの説得力をもった改革。青野さんの経営モットーは、100人いれば100通りの働き方があって良いということですが。

青野)はい、そうです。

黒木)確かに100人いたら100人が違いますものね、働き方は。

青野)はい。

黒木)ですが、それを実現しないといけませんよね。100通りの働き方を。

青野)そうなのです。

黒木)どうするのですか?

青野)かなり大変です。在宅勤務したい人が出て来たら、家にパソコンを設置して、セキュリティーを守れるようにしないといけないとか、その人との情報共有はどうするのかとか。でも、そういうことを頑張ってやっていると、環境が整って来て、次はこんな働き方もできるのではないか、あんな働き方もできるのではないかということが出て来ます。そう言って十数年やって来たのが、いまの僕たちです。

黒木)時代とマッチしているということですよね、青野さんのやり方は。

青野)そうですね。この数年、注目していただいているのは、そこにあると思います。「もしかしたら1人1人のわがままを聞くようなやり方の方が、実は正しいのかもしれない」と、みなさんが気付き始めたということだと思います。

黒木)わがままと言うと、少しネガティブなイメージがしますが、気持ちよく働けるということですよね。

青野)おっしゃる通りです。たとえば通勤電車が嫌だという人は、通勤電車さえ外して貰えれば、家で頑張りますということなのです。それはある意味、組織のためにもなっているのだということ、それが言葉の真意ですね。

黒木)100人いれば100通りという、その働き方を1つ1つ実現されて行くのはすごいことですよね。1人1人に何が困っているかを聞いて、それを解決して行かれるわけですよね。

青野)そうですね。在宅勤務でも、イタリアのナポリで在宅勤務されている方もいます。女性なのですが、旦那さんがイタリア転勤になったのです。「私、来月からイタリアに行かないといけないのです」と言って。

黒木)でも辞めたくないのですと。

青野)そうです。イタリアで働いていいですかと言うので、いいんじゃないかと。やってみると、これが逆によかったのです。24時間のサービスを私たちは提供しているのですが、海外にいて時間帯が違う人がいると、サポートが安くなるのですね。夜のサポートは彼女に任せようということになりました。1人1人のわがままを聞くことが、実は組織にとってプラスに働くことがあるのです。

黒木)社員のわがままが、まったくのわがままだったということはないのですか?

青野)もしまったくのわがままで、それが組織にとってプラスに働かないのであれば、そこは給料を下げます。それでもよければ、そのわがままをどうぞ言ってくださいと。ですので、給料が柔軟に変形して行くことも前提になっているのです。他の会社が真似できないのは、日本のこの給与体系が硬直的になっていて、柔軟にできないからです。

黒木)社長自身もわがままをおっしゃったことはあるのですか?

青野)もう私も、わがまま言い放題ですよ。

黒木)どんなわがままでしょうか?

青野)いま子供が3人いますけれども、子どもが生まれる度に育児休暇を取りました。

黒木)どのくらいお休みになられたのですか?

青野)1人目が生まれたときに2週間、2人目が生まれたときは20日間くらい休みました。3人目が生まれたときは毎日、午後4時に退社しました。

黒木)社長自ら行っていらっしゃる。つまりその分、お給料も減るわけですか?

青野)そうなのですよ。そこを見直さないといけないと思っています。成果を下げさせないように、子供を寝かしつけた後、もう1度パソコンに向かって頑張るとか。

黒木)そうやって育児休暇をしつつ、やはりその穴埋めはやるということですか?

青野)そうしないとみんな納得しませんよね。

黒木)わがままを言っているだけではだめなのですね。

青野)そうですね。

黒木)離職率も下がったでしょうね。変わりましたでしょう、会社は。

青野)そうですね。一時は28%ありました。4人に1人辞めてしまう会社だったのですが、いまはもう7年連続で5%未満です。IT業界では相当低い数字だと思います。

青野慶久/サイボウズ株式会社 代表取締役社長

■1971年生まれ。愛媛県今治市出身。
■大阪大学工学部情報システム工学科卒業後、松下電工(現 パナソニック)を経て、1997年8月に愛媛県松山市でサイボウズを設立。
■2005年4月、代表取締役社長に就任。
■サイボウズ株式会社はソフトウェア開発会社。通信事業・ネットワークシステム構築・コンサルティングなども展開。
■M&Aの失敗・離職率の増加を機に覚悟を決め、「多様性」「公明正大」を大切にしながら、チームワークあふれる社会を創るために真剣に取り組む。
■離職率を6分の1に低減した実績や、ビジネスのクラウドシフトの他、3児の父として3度の育児休暇を取得した育ボス、妻氏婚(つまうじこん)、夫婦別姓などの講演も多数。
■政府の働き方変革プロジェクトの外部アドバイザーやCSAJ(一般社団法人コンピュータソフトウェア協会)の副会長を務める。
■著書に『ちょいデキ!』『チームのことだけ、考えた。』『会社というモンスターが、僕たちを不幸にしているのかもしれない。』がある。

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