児童の安全地域で守る 奥田交番襲撃1年、住民 通学路の人員増 

©株式会社北日本新聞社

 奥田交番襲撃事件の現場周辺では、24日朝から児童の登校を見守る住民の態勢が強化された。地元自治会が事件の節目に合わせて見守りに当たる人を増やし、子どもたちの安全を確保。交番や駐在所が襲われる事件が全国で相次ぐ中、地域の安心・安全のための取り組みや同じ場所で建て替えられる新しい交番に望むことを、子どもを持つ保護者や防犯パトロール隊員らに聞いた。

 奥田校下防犯パトロール北部隊は24日朝、奥田小学校近くの県道沿いで、学校へ向かう児童を見守った。通常の活動は夜間のパトロールだが、事件から26日で1年を迎えるに当たり、28日までは朝の通学路にも立つ。同隊の船越利之さん(67)は「事件後は保護者と通学する児童が多かったが、最近は子どもだけで歩く姿を見るようになった」と目を細める。

 船越さんはこの1年間、「自分にできることの限界を考えさせられた」と打ち明ける。見回り中に不審者を見つけたとしても、隊員自身の身を守る必要もあるため、人相を覚える程度のことしかできないことに悩んだという。一方で、警察からは「パトロールをしている姿を見せることが抑止力につながる」という助言を受け、子どもたちを守る方法を日々模索している。

 現場近くの奥田商店街。ここで総菜屋を営む岡部典子さん(64)は事件の後、子ども連れの若い母親の客足が遠のいたように感じたという。「事件の後に『奥田小学校を襲う』といういたずらメールが送られたこともあり、怖がって来なくなったのではないか」と振り返る。安心して買い物できるようにと、同商店街は2月に防犯カメラ6台を設置。警察との情報共有を密にしている。

 事件を受け、保護者の防犯への関心は高まっている。息子が奥田小に通う自営業の水野純さん(48)は「どんな小さなことでも、学校から送られてくる注意喚起のメールにすごく敏感になった」と話す。亡くなった警察官とは顔見知りだったといい、「新しい奥田交番は警察官が安全に仕事ができる造りにしてほしい」と求めた。

 「あってはいけない事件だった」。元警察官で、奥田校下自治振興会の竹嶋一(かず)恭(やす)会長(72)は、こう振り返る。警察官が襲われ、奪われた拳銃で警備員が犠牲になり、さらに小学校の敷地内に容疑者が侵入したからだ。同様の事件を防ぐことは難しいとしながらも「地道にやるしかない、でもいつかそれが安心につながるはず」と力を込めた。

  ■交番の防犯対策強化 下堀交番 全ての窓に防犯ガラス 4月に完成した富山中央署下堀交番(富山市下堀)には、強化された警察官の安全確保策が採用されている。同交番は老朽化のため新築することが決まっていたが、奥田交番襲撃事件を受けて急きょ仕様を変更。新たな奥田交番に取り入れられる防犯対策を一部導入して建てられた。

 交番内の全ての窓ガラスには簡単に割れにくい防犯ガラスを使用。警察官の安全を考慮し、来訪者のスペースと執務室の間を防犯ガラスで区切っている。道路と出入り口の間には、車が突っ込んできても交番に直撃しないように、高さ約60センチ、横約1メートルの金属製フェンスを四つ並べた。

 県警は、新奥田交番を安全対策に秀でた「モデル交番」とする予定で、裏口にセンサーライトなどを導入する方針。当初は今秋の完成を予定していたが、解体工事の入札不調や東京五輪開催に伴う資材不足のため予定が延び、来年1月の完成を見込む。それまでは引き続き近くの仮設交番で業務を行う。