「ゲーム障害」依存症に認定 心の傷見つめ支援を

長崎ダルク代表 中川賀雅氏 インタビュー

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「生きづらさを見つめ、支援することが大切」と話す中川代表=長崎市内

 世界保健機関(WHO)は5月、オンラインゲームやテレビゲームのやり過ぎで日常生活が困難になる「ゲーム障害」を新たな依存症として正式に認定した。スマートフォンやタブレット端末の普及がゲーム依存に拍車を掛けているとされるが、専門家は依存症につながった心の傷や生きづらさを見つめながら、回復を支援することが大切と指摘する。依存症のリハビリ施設「長崎ダルク」の中川賀雅代表に聞いた。

 -ゲームやインターネット依存の相談は増えているか。
 それだけで相談に来る人はまだいないが、ギャンブル依存と併発している人は少なくない。ネットで日本中の競馬や競艇の券を買うことができるし、ゲームで使う金をギャンブルで稼ごうとする人もいる。
 学校や会社を休み、部屋に閉じこもってゲームに没頭している場合、家族はゲームが原因と考えるかもしれない。だが学校などで心に傷を負って閉じこもり、社会との接点の一つとしてゲームをしている可能性もある。そうしたケースでは、ゲームをさせないことやスマホを取り上げることが必ずしも回復につながるとは言い切れない。

 -どのような対応が求められるか。
 ゲーム障害が増えているとセンセーショナルに報じられて、子どもがゲームを長時間していると「病気ではないか」と不安になる人が増えないか危惧している。治療が必要な人もいるだろうが、「病気」とレッテルを貼られて傷つくこともある。
 以前、自分の部屋でテレビを見続ける若者が問題になったが、それがスマホに変わったのかもしれない。テレビやスマホが悪いわけではなく、そうせざるを得ない生きづらさを抱えているのかもしれない。つまり、しらふでいるより、ゲームでもギャンブルでも薬でも依存している方が楽なんだと。
 スマホなど新しいメディアが出てきて、面白ければはまる時期はあると思う。ただ多くの人は一定の時間が過ぎれば覚めるだろう。しかし、のめり込み続ける人もいる。そのリスクを事前に教育する必要があるが、万一、依存状態に陥った時、SOSを発信できるよう社会環境を整えることが重要だ。

 -依存症者の支援で大切にしていることは。
 個々の生き方全体を見ることが大事。本人が生きづらさを話し出すのを待つ時期もあれば、コミュニケーションを取って一緒に考えることも必要。心の傷の痛みをゲームや酒でごまかすことはできても、その傷が癒やされることはない。しかし人と関わってぬくもりを感じるにつれ、時間はかかるかもしれないが、その傷を受け入れられるようになる。そして、自分をこれ以上傷つける必要はないと気付き、依存からの回復の道を少しずつ歩んでいく。