「チケット不正転売禁止法」施行も関係なし! 低年齢層が多い男性アイドル・ファンを狙うチケット詐欺の内容がすごすぎる!!

©TABLO

写真はイメージです

6月14日、チケットの不正転売を禁止する、「チケット不正転売禁止法(特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律)」が施行されました。2020年の東京五輪を見据えてのものと考えらますが、これまで転売サイト等、各所で行われていたチケットの高額転売の抑止力となりうる法律かと思いきや、変わらず転売サイトでは高額転売が行われています。実はこの法律、“高額な不正転売”を軒並み取り締まるものではないようで、条文を確認すると、「業として」とあることから、禁止対象が個人まで及び難いのかもしれません。

さてそんななか、7月6・7日、7月13日・14日と世界的人気アイドルとして知られるBTS(防弾少年団)のスタジアム公演が大阪と静岡で開催。SNSを確認すると、チケットを獲得できなかったファンたちが溢れ返り、こんな書き込みをしています。

「譲ってください!」

「定価以上出せます! どうしても行きたいんです!」

「来年は受験だから、今年で最後なんです。誰か同行させてください!」

中学生だろうと高校生だろうと母親だろうと、お構いなしに必死で手を伸ばす先にいるのは……。

「チケット譲ります。即決金額あり。相場理解の上、金額を書いてDMください。今日中に振り込める人優先。チケットは郵送します」

こんな書き込みに身を委ね、大金を支払ったら後の祭り。入金後にすぐブロックされ、音信不通となる手口がもっともメジャーです。

また、チケット発券前にやりとりし、「発券番号を教えるので、発券日に自分でローソンへ行ってチケットを発券してください」と誘導されるパターンも。発券日に番号を入力すると、当然のように番号は不備。ロッピー(※ローソンに設置された発券機)の前で立ちつくすしかないのです。

現金以外にもプリペイドカードや仮想通貨での支払いで、詐欺に遭うことも多々あるよう。

また、チケットのやりとりだけではなく、“グッズ代行”も格好の詐欺の餌場となっています。

近年コンサートグッズは、物販に並べば誰でも容易に買えるものではありません。まず、物販に並ぶ権利が獲得できる整理券配布すら抽選。そのうえ数量制限があり、売り切れ必至。グッズを手に入れるだけで至難の技なのです。

そこで、「徹夜で並ぶのでグッズ代行できます!」などと謳い、代行費を募る手口が後を絶ちません。

良心的な代行者が、グッズと引き換えに代行費を受け取る一方、詐欺師たちは代行費を先に受け取ります。そして、「売り切れていました。グッズ代はお返ししますが、代行費は返しません。徹夜までしたこちらの労力をご理解ください」と堂々詐欺告白。こうした対応から、代行業をシノギにするようなあからさまに“悪い人”がやっているのではなく、中高生が罪の意識なく“おこづかい感覚”でやってることがうかがえるのです。

なかには、こうしたグッズ料金&代行費を徴収し、さらに相手の個人情報も受け取った上で、コンサート後にブロック。何度もアカウントを変え素性を撹乱し、新たな代行希望者を募り……といったことを繰り返す、有名な詐欺師も存在します。ちなみに個人情報の使い道は、自身がコンサートチケットを転売で得るときになりすます等、悪用されるよう。

また、とあるフリマサイトには、「良席方法」という310円の商品の出品も確認できます。商品説明の欄には、「ライブ等の良席方法になります(※原文ママ)」「確率が上がるだけで確実ではありません、ご了承ください」とあり、ちまたに溢れる競馬必勝法以上のいかがわしさが漂います。

指先ひとつで何の労力なくじゃぶじゃぶ金が入ってくるシステムが、こうした人気アイドルのコンサートでは構築されているのです。

上記禁止法施行前日。こんな報道がありました。

<ツイッターでアイドルのコンサートのチケットを売ると投稿して現金をだまし取ったとして、大津署は13日、詐欺の疑いで大津市内の高校3年の男子生徒(17)を逮捕した>(京都新聞web版6月13日付)

男子高校生が行なったのは、驚きの手口でした。昨年11月23日、男子校生の書き込みを見て「譲ってほしい」と名乗り出た女子高生を、大津市の神社駐車場に誘った男子校生。そして……。

<男子生徒は、誘い出した女子生徒をツイッターで指示して、駐車場のカラーコーン内に現金を置かせ、数百メートル離れた草むらを指定して「チケットは草の中」と送信。女子生徒が離れた際に現金を回収したという>

現代ツールを使い誘い出し、原始的な手口で詐欺を働く……。まさかこんなふうに現金が騙し取られようとは、女子高生は思ってもみなかったはず。

これだけ詐欺被害が報告されても、

「2回も詐欺されました。もう12万円も払ってしまったので、どなたか譲っていただきたいです。切実に求めています」

と、“カモ”表明とも言える危険な書き込みも見られるSNSでのチケット取引。低年齢のファン層が厚いアイドルのチケット取引には、法律に期待する前に、自衛することが不可欠なのです。(取材・文◎春山有子)