テクノロジーのベテランであるテジ・コーリ氏がAIの民主化を呼びかけ

AIは非常に顕在的でどこにでも存在するものになる可能性があるため、世界のAI経済の価値は2025年には150兆ドルに達すると予想される

しかし、AI製品が存在しないうちに大げさに取り上げすぎると、AI導入に対する一般市民の支持を得るために不可欠な文化的気勢が損なわれる

ロンドン--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ) -- ロンドンを拠点とするテクノロジー投資家で起業家のテジ・コーリ氏によれば、AIをとりまく誇大な期待はまだ時期尚早であり、あまりにも大げさに取り上げすぎて「熱狂のバブル」を生み出し、AI製品が約束通りに直ちに生活を向上させないと、一般市民の間で失望感が起きる危険性があります。コーリ氏によれば、AIが世界を変えることができるのは、すべての人がAI経済の恩恵を全面的に受けられるようなAI製品をより多くの起業家が構築できるようにするユーザーインターフェースが利用可能な時だけです。これには、協調的な国際協力と大規模な資本投資が必要になります。

コーリ氏は、AIがより良い世界を築くという見通しについて意気揚々と語っており、飛躍的に発展する世界のAI経済の価値は2025年には150兆ドルに達する可能性があるという考えを何度も表明しています。しかしまた、AIが日常生活に及ぼす広範な影響について語るのは時期尚早であるとも考えています。

コーリ氏は、次のように述べています。「現在のAIに関する中心的な問題は、どの個人や企業もAI経済に「プラグイン」利用できる直感的なユーザーインターフェースをまだ持っていないということです。AIが顕在化しどこにでも存在するようになるには、スマートフォンアプリを作成するのと同じくらい簡単にAI製品を作成できなければなりません。現時点では、目の前に自動車を製造するためのすべての部品が揃っているものの、これらの部品を組み合わせて自動車を製造するには非常に費用がかかるといった状況です。」

たいていの場合、初期の技術的進歩は見かけ上はゆっくりと起こります。通常、新しい技術が既成概念を覆す破壊的なものになるのは、その技術に起業家が直感的にアクセスしてその技術を用いて新しい製品やアプリケーションを作成できる場合だけです。初期のインターネットは、ネットスケープとマイクロソフトが最初のウェブブラウザーを立ち上げるまでは、ほとんど役に立ちませんでした。ごく初期のスマートフォンは、アンドロイドとiOSが主要なスマートフォン・プラットフォームになり、これを基にアプリケーションを簡単に構築できるようになるまで、その機能は限定的なものでした。最初の3Dプリンターは1984年に発明されましたが、これが破壊的な影響を及ぼすようになったのは、直感的で安価で使いやすい家庭用プリンターと同等のインターフェースを備えた現代の3Dプリンターを利用できるようになったためです。ある技術で直感的で入手しやすいインターフェースを利用できるようになると、たいていの場合、その技術は飛躍的に発展します。

現在、すべてのAI製品は、連携が必要な複数の要素に依存しています。モノのインターネットは、センサーやデータ収集用の他の情報源を接続することで学習が可能になります。その後、大きなモダリティーのデータをクラウドに保存し、5G速度のネットワークを介して高速でアクセスできるようにしなければなりません。次に、収集したデータから確率とパターンおよび推計を作成するようアルゴリズムをプログラムしなければなりません。そして最後に出力が必要です。これは、たいていの場合は何らかのロボットの形態となります。これが、AIがその知能を生かして行動を起こすプロセスです。

今ではこれらすべてがかつてない方法で利用でき、クラウドベースのプロセッサーと5Gの登場によってコストの障壁がほとんどなくなり、G2のようなプラットフォームにより、ソフトウェア開発者はAIを自らの製品やアプリケーションに統合できるようになりましたが、これらの「部品」をすべて連携させて機能させるにはまだまだ費用がかかります。

コーリ氏は、次のように述べています。「欠けているのは知識です。より多くの人たちが、AIの個々の構成要素のすべてをユーザーフレンドリーなプラットフォームに融合させるソリューションに取り組む必要があります。この時初めて、AIが民主化され、起業家がこれを用いてAI製品を生み出すことができます。これを最初に実現できる人は、他の人たちを凌ぐかつてない程の競争上の優位性を持つことになります。」

2018年、英国政府は公式に「人工知能局」を設立し、AIを研究する1000人の大学院生に資金を提供する1億1500万ポンドの計画を発表しました。しかし、英国ではまだテクノロジー分野の技能者が大幅に不足しています。2019年のモーガンマッキンリー給与ガイドのテクノロジー部門によると、需要があるということは、恒久的なAI専門家は転職することで20.7%の昇給を期待できることになります。

利用可能なAIプラットフォームを構築するため、IBMは同社のワトソン・ブランドのAIサービスを自社のクラウドで無料のオープンソース・リソースにしました。しかし2019年2月には、IBMは、企業がワトソンを自社のサーバーにダウンロードできるようにしました。その目的は一部には、ビッグデータの多数のソースを新しいAI製品に融合するという継続的で費用のかかる課題を改善するためです。

6月9日、ユナイテッド・テクノロジーズは、同社の航空宇宙部門が防衛請負業者のレイセオンと合併することを発表しました。これにより、合併後の会社は「重要な研究開発と設備投資を支えられるリソースと財務上の柔軟性が高まる」と言われています。ユナイテッドとレイセオンは、人工知能の広範な新たな進歩に共同で取り組むことができると述べています。しかし、この合併はまた、AIの目に見える要素を連携させてAI製品を生み出すためには莫大な規模の設備投資が必要であることも明らかにしました。

データはこの見解を支持しています。2019年3月に行われたEU13カ国2830社の「AI」テクノロジー企業の調査では、「AIスタートアップ企業」と自称する企業の40%が、実際の活動において「重要」な機械学習のテクノロジーの実績がありません。

コーリ氏は、次のように述べています。「AIはデジタル革命の何倍も生活に影響を与え、改善する可能性があります。私は敢えてAIを「代替知能」と呼んでいます。これは人工ではないからです。AIは人間の知能よりもはるかに精密で正確で信頼できる知能です。しかし、どこにでもある普遍的なものになるためには、AIはまず金銭面、物質面から解き放たれ、民主化されなければなりません。AIがヘルスケア、バイオテクノロジー、ホスピタリティ、小売業、その他数千もの業界で一般的に利用できるようになれば、AIは人間の生活に関するあらゆる面を大幅に改善する可能性があります。しかし、それにはまず、人々が「代替知能」が自分たちの生活を著しく向上させる広大な可能性に十分に気付かなければなりません。人々は積極的にAIを自分達の生活の中に取り入れる決断を下さなければなりません。しかし、最初の体験が過剰に誇張されたもので、その後AI製品が約束されたように人々の生活を直ちに改善し始めないならば、AIが始まる前にAIに興味を失い始めるというリスクが生じます。」

コーリ氏は、インド工科大学(ITT)で学び、エンジニアの道を進みました。「ハーバード、MIT、プリンストンを1つの機関に統合した」ような大学と称されるこの大学でのコーリ氏の同期の人物には、サン・マイクロシステムズを設立したビノッド・コースラ氏など、テクノロジーのパイオニアやビジネスリーダーの「著名人」がいます。コーリ氏自身は、新しいトレンドを発見して早くから着手してきた長い実績を持っています。コーリ氏は、最初にドットコムブームで財産を作りました。ベルリンなどの都市が新しい技術のグローバル拠点になる可能性を早くから見い出し、不動産に多額の投資を行いました。コーリ氏の息子が急成長する世界的現象であるeスポーツに参加した時、コーリ氏は、欧州の大手eスポーツチームに2000万ユーロを投資しました。

コーリ氏は、次のように述べています。「目標までもうすぐそこです。AIのすべての要素が目に見えるものとなり、それをどのように連携すべきかは分かっています。しかし、個人や企業がAI経済に簡単に「プラグイン」して独自のAI製品を開発できるようにするための経済の問題はまだ解決していません。それでも、私自身を含め、目標に向かって投資する多くの人々がいます。」

一例として、コーリ氏は、ロンドンを基盤とするテクノロジー企業のSeldonを挙げています。この会社は、コーリ氏が中心的投資家の1人となっている投資ファンドのリワイヤードが部分的に支援しています。Seldonは、データサイエンティスト、開発者、大規模組織がデータを共有し、ネットワーク効果を利用して、機械がより速く、より大きく、より良く学習できるようにする世界初のオープンソースの機械学習プラットフォームを開発しました。これにより、企業はAI製品を作成し実装することができます。コーリ氏は、これによりSeldonは急速に巨大企業になると予想しています。

コーリ氏はまた、例として米国を基盤とするAromyxを挙げています。この会社の初期のテクノロジーにはDARPAが出資し、現在はリワイヤードが出資しています。Aromyxは味覚と香りの測定とデジタル化を実現する技術を開発しています。これにより、AIに不可欠である機械学習のために新しいデータモダリティーを検出し取り込むことができます。成功すれば、この米国企業は、香りや味覚のデータを取り込んでAI製品に転送する世界規模のプラットフォームを所有することになり、多くの企業向け、防衛向け、消費者向けアプリケーションが実現されます。

人工知能のより驚くべき側面、すなわちAIがいつの日か人類を支配するかどうかという問題に関して、コーリ氏の意見は明白です。「AIは単なる技術ではありません。AIは、人の力を最小限に抑えつつ、すべての業界および私たちを取り巻くすべてがより良く機能するようにするものです。人は常にAIを支配し、最終的な発言権は常に人間にあります。」

テジ・コーリ氏について

テジ・コーリ氏は、ロンドンを拠点とするテクノロジーと不動産の起業家であり、実業家であり、慈善家です。現在は生活を変革し、世界を変える可能性を秘めた先見性のあるベンチャーと投資に注力しています。自身の投資事業体であるコーリ・ベンチャーズを介して、コーリ氏は、世界で最も差し迫った課題を解決し、より良い未来を生み出すのに役立つAI、ロボット工学、バイオテクノロジー、ゲノミクス、フィンテックへの強力なインパクト投資を目指しています。

コーリ氏はまた、慈善団体のテジ・コーリ財団を介して、2030年までに世界の角膜症失明を治療するという広く知られた使命を抱いています。この財団は、世界の角膜症失明の解決を目指す優れた世界的機関であるテジ・コーリ角膜インスティテュートを直接支援しています。

コーリ氏は、インドのカーンプル工科大学(IITK)の優秀同窓生であり、電気工学の学位を取得しています。同氏はドットコムブームの間に、テクノロジー・ソリューションと電子商取引決済ソフトウエアを販売して成功しました。

www.tejkohli.com

リワイヤードについて

リワイヤードは、応用科学と技術を専門とするロボット工学を中心としたベンチャー・スタジオです。リワイヤードは2017年に設立され、ロボットが実社会の環境と適切にやり取りできるようにするための技術に初期資金の1億ドルを投資しました。ロボットの感覚能力の発達と周囲の環境の理解を支援する中で、リワイヤードは、AIを安全かつ効率的に日常生活に組み込めるようにする上で重要な役割を果たすことを目指しています。

www.rewired.com

リワイヤードについての動画を、https://youtu.be/6yc5EcBIU5Uでご覧いただけます。

以上

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